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【図解・社会】平成を振り返る、2015年10大ニュース

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2015年10大ニュース

国内1位は安全保障関連法成立=2015年10大ニュース

※記事などの内容は2015年12月掲載時のものです

◇国内10大ニュース
1位・安全保障関連法が成立
 集団的自衛権の行使を可能にすることや、米軍への後方支援を大幅に拡大することなどを柱とする安全保障関連法が9月19日、成立した。「国の存立が脅かされる明白な危険」などの要件を満たす場合、自衛隊が海外で武力を行使できることになり、日本の安全保障政策は大きく転換された。安倍政権は「抑止力の強化につながる」と強調しているが、野党や憲法学者らからは「憲法違反」との指摘も出ている。
 安保関連法は、自衛隊法など計10本の改正法と、自衛隊の海外派遣を地理的制約なく随時可能にする新法で構成。日米両政府が4月に再改定した防衛協力指針(ガイドライン)と表裏一体の関係を成す。安倍内閣は、集団的自衛権行使を容認した昨年7月の閣議決定を踏まえ、今年5月に国会に関連法案を提出。衆参両院通算で約216時間にわたり審議が行われた。
 写真は、参院特別委員会で安全保障関連法の採決をめぐり、もみ合う民主党の小西洋之氏(左上)と自民党の佐藤正久理事=9月17日、国会内 【時事通信社】

2位・ISが邦人人質殺害
 過激派組織「イスラム国」(IS)は1月、シリアで行方不明になった湯川遥菜さん=当時(42)=とフリージャーナリストの後藤健二さん=当時(47)=を人質に取り、殺害した。ISはそれまで欧米人を殺害したとする動画を公開してきたが、邦人が犠牲になった事件は初めてだった。
 ISは、安倍晋三首相がIS対策として2億ドルの人道支援を表明した後、2人の殺害を警告するビデオ映像を公開。72時間以内に同額の身代金を支払うよう要求した。期限切れ後、ISは湯川さんを殺害したとする画像をネットに投稿し、要求を身代金からヨルダンで収監中のイラク人女死刑囚の釈放に切り替えた。日本政府はヨルダンなどに協力を求め、人質解放に努めたが、その後後藤さんを殺害したとする動画が公開された。
 写真は、首相官邸前で後藤健二さんの解放を訴える人たち=1月28日、東京都千代田区 【時事通信社】

3位・TPP交渉が大筋合意
 日本や米国、オーストラリアなど12カ国による環太平洋連携協定(TPP)交渉が10月5日、5年半に及ぶ協議の末、大筋合意した。各国の議会承認を経てTPP協定が発効すれば、共通の貿易・投資ルールを持つ人口8億人、国内総生産(GDP)3100兆円の巨大市場が誕生。アジア・太平洋地域の成長を取り込み、日本経済の活性化につながるかどうかが注目される。
 日本は工業製品や農林水産物など全貿易品目(9018品目)のうち約95%で輸入関税を撤廃し、貿易の自由化を促進する。国会決議で関税維持を求められたコメなど農産物重要5項目は完全自由化の対象から除外された。コメについては計7万8400トンを上限に無税輸入枠を創設、牛肉は38.5%の関税を協定発効から16年目に9%まで削減するなど部分的な譲歩で決着した。
 写真は、環太平洋連携協定(TPP)交渉の閣僚会合の共同記者会見に臨むフロマン米通商代表部(USTR)代表(中央)と甘利明TPP担当相(左)ら=10月5日、アメリカ・アトランタ 【EPA=時事】

4位・川内原発が再稼働
 九州電力は8月11日、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を起動し、再稼働させた。9月10日には営業運転に移行した。2011年3月の東京電力福島第1原発事故を受け、原子力規制委員会が策定した新規制基準に基づく原発の稼働は初めてで、国内で原発が運転されるのは13年9月に関西電力大飯原発(福井県おおい町)が停止して以来。「原発ゼロ」は1年11カ月で終わった。10月15日には川内2号機が再稼働した。
 九電は13年7月、川内1、2号機の審査を申請。規制委は昨年9月、新基準を満たすと判断した。事故に備えて住民の避難を準備する半径30キロ圏には9市町の約21万人が住み、各自治体は避難計画を策定したが、住民の間には実効性を疑問視する意見も残る。
 写真は、九州電力川内原発1号機の原子炉建屋(奥)と、再稼働に抗議する人たち=8月11日、鹿児島県薩摩川内市 【時事通信社】

5位・戦後70年で安倍首相談話
 政府は8月14日、戦後70年の安倍晋三首相談話を閣議決定した。談話は先の大戦について「わが国は繰り返し、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきた」と指摘した上で「こうした歴代内閣の立場は今後も揺るぎない」と表明。1995年の村山富市首相談話や2005年の小泉純一郎首相談話に明記された(1)植民地支配(2)侵略(3)痛切な反省(4)おわび-のキーワードについても、引用など間接的表現ながら、談話に盛り込んだ。
 安倍首相は当初、国会で村山談話について「安倍内閣としてそのまま継承しているわけではない」と答弁するなど、独自色を反映させることにこだわりをみせていた。しかし、中韓両国の反発や連立を組む公明党の要請も踏まえ、歴代内閣の姿勢を引き継ぐ考えを明確にした。政府は談話の真意が伝わるよう中国語と韓国語の翻訳も作成した。
 写真は、戦後70年談話について記者の質問に答える安倍晋三首相=8月14日、首相官邸 【時事通信社】

6位・東芝不正会計で歴代社長辞任
 日本を代表する電機メーカー、東芝で利益を意図的にかさ上げする不正会計が発覚した。社外の弁護士らで構成する第三者委員会は7月、経営陣が関与し、パソコンやテレビなど幅広い事業で不正な会計処理が組織的に行われたと認定。田中久雄氏ら歴代社長3人が引責辞任する事態に発展した。利益かさ上げ額は過去約7年間で累計2248億円に上った。
 証券取引等監視委員会は12月、有価証券報告書に虚偽記載があったとして、過去最高額となる約73億円の課徴金を科すよう金融庁に勧告。個人株主は、株価下落で損害を受けたとして同社や旧経営陣に賠償を求める訴訟を相次ぎ起こしているほか、同社自身も旧経営陣を提訴。東芝は不正会計の一因となったパソコンなど不採算事業の見直しや人員削減に迫られている。
 写真は、不正会計問題で記者会見し、謝罪する東芝の田中久雄社長(中央、当時)ら=7月21日、東京都港区の同社本社 【時事通信社】

7位・新国立競技場建設、エンブレム白紙に
 2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画や大会エンブレムが相次いで見直しを迫られた。新競技場は整備費が当初の予定を大幅に上回ったことに批判が集中。7月に安倍晋三首相の指示で旧計画は白紙撤回された。エンブレムは、佐野研二郎氏の作品に対し他のロゴとの酷似を指摘され、選考し直す事態に発展。五輪ムードに水を差す結果となり、国際的な信用も損なった。
 新競技場をめぐっては、8月に総工費の上限を1550億円に設定した新計画がまとまった。事業者2グループから提出された技術提案書が公開され、今月中に業者を決める。一方、エンブレムは五輪組織委員会が応募資格を大幅に緩和して再募集、今月上旬までに1万4599件の応募があった。来春に新デザインが決まる予定だ。
 写真は、エンブレム使用中止を受け、東京都庁内で2020年東京五輪・パラリンピックのポスターをはがす職員=9月1日、東京都新宿区 【時事通信社】

8位・辺野古移設、国が着工
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設計画で、政府は10月29日、本体工事に着手した。移設反対を掲げる同県の翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消すなどして対抗措置を講じる中、政府側が押し切った。政府は11月、県を相手取り、埋め立て承認取り消しの撤回を求める代執行訴訟を福岡高裁那覇支部に提起。国と県の対立は法廷闘争に発展した。
 昨年11月の知事選で初当選した翁長氏は、移設反対は「民意」と訴え、仲井真弘多前知事による埋め立て承認には「法的瑕疵(かし)」があるとして今年10月に取り消しを決定した。これに対し、政府側は前知事の承認を「有効」と主張し、取り消し決定の効力を一時停止。海底ボーリング調査や護岸工事に向けた資材置き場建設を進めている。県も近く国側を提訴する方針だ。
 写真は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先の名護市辺野古沖合で政府が進める海底ボーリング調査=11月12日 【時事通信社】

9位・日本人科学者2人がノーベル賞
 アフリカや中南米の寄生虫病特効薬の開発に貢献した大村智・北里大特別栄誉教授がノーベル医学生理学賞を、素粒子「ニュートリノ」に質量があることを初めて確認した梶田隆章・東京大宇宙線研究所長がノーベル物理学賞をそれぞれ受賞。日本人のノーベル賞受賞者は計24人になった。
 大村さんは抗生物質「エバーメクチン」を発見。この物質に基づく抗寄生虫薬「イベルメクチン」は寄生虫病への効果が確認され、幅広く使われている。物質を構成する素粒子の一つニュートリノは質量ゼロと考えられてきたが、梶田さんは素粒子観測装置「スーパーカミオカンデ」を使い、ニュートリノがごくわずかな質量を持つ証拠となる「ニュートリノ振動」という現象を初めて確認した。
 写真は、授賞式を終え、ノーベル賞のメダルを見せる梶田隆章さん(左)と大村智さん=12月10日、スウェーデン・ストックホルム 【時事通信社】

10位(1)・ラグビーW杯で歴史的勝利
 9月から10月にかけて開催されたラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会で、日本代表が大躍進して世界を驚かせた。過去7大会で白星は1991年のジンバブエ戦だけだった日本が、1次リーグ初戦で南アフリカを34-32で破る歴史的な勝利を挙げた。W杯で2度の優勝を誇るラグビー強国の南アを、試合終了直前の逆転トライで倒す大金星だった。
 続くスコットランド戦は完敗したが、サモア、米国に快勝。五郎丸歩(ヤマハ発動機)は正確なゴールキックを武器に計58得点をマークした。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの指導の下、積み重ねてきた猛練習が実を結んだ。3勝1敗で並んだ南ア、スコットランドに勝ち点で及ばず3位にとどまり、準々決勝進出はならなかった。それでも、19年W杯日本大会につながる活躍だった。
 写真は、南アフリカに勝ち、喜ぶ日本代表の選手たち=9月19日、英国・ブライトン 【時事通信社】

10位(2)・外国人観光客激増、爆買いも
 2015年1~11月の訪日外国人数は、日本政府観光局の推計で前年同期比47.5%増の1796万4400人に達した。円安に加え、日本発着の国際航空路線の拡充、査証(ビザ)発給要件緩和などを背景に、過去最高だった14年の年間実績(1341万人)を既に上回った。15年年間では1900万人台に達する見込みだ。
 訪日観光客が日本を訪れ、炊飯器やカメラ、薬、化粧品といった家電やブランド品などを大量に購入する「爆買い」も注目を集め、今年の流行語大賞にも選ばれた。日本百貨店協会によると、外国人観光客向けの免税売上高(1~10月)は前年同期と比べ、約3.1倍の1609億9600万円。ただ、中国を含む新興国経済の減速に伴い、爆買いの勢いが鈍る可能性も指摘されている。
 写真は、家電などを販売する免税店「ラオックス」で日本製の炊飯器を大量に購入(爆買い)した外国人観光客=6月14日、東京・銀座 【時事通信社】 

◇海外10大ニュース
1位・世界各地でイスラム過激派のテロ
 1月にパリで風刺週刊紙が国際テロ組織アルカイダに共鳴するイスラム過激派に襲撃されて以降、過激派組織「イスラム国」(IS)などによる大規模テロが各地で多発した。チュニスで3月に起きた博物館襲撃では、邦人3人も犠牲になった。10月にはアンカラで自爆テロがあり、エジプトではロシア旅客機が爆破された。11月もベイルートの自爆テロに続き、パリで同時テロが発生し、130人が死亡。いずれもISが犯行声明を出した。米国でも12月にカリフォルニア州で過激思想に染まった夫婦による銃乱射事件が起きた。
 パリ同時テロを受け、英仏がシリアのIS拠点への本格空爆に踏み切った。こうした米主導の有志連合に加え、ロシアもアサド政権を支援する立場からシリア空爆を9月に開始。ISに対する国際的包囲網が強まっている。
 写真は、パリ同時テロの現場となったレストランの前で、犠牲者を追悼する市民=11月16日 【AFP=時事】

2位・中東難民、欧州に殺到
 シリアを中心に中東やアフリカの紛争や迫害を逃れ、欧州を目指す難民が急増した。粗末な船などに乗った難民が連日大量に押し寄せ、国境にフェンスを設けて流入を抑える国も。9月にトルコの海岸に打ち上げられた3歳男児の遺体写真が報じられると、世界的に受け入れの動きが広がり、欧州最大の受け入れ国ドイツのメルケル首相はノーベル平和賞候補になった。
 欧州連合(EU)は加盟国全体で16万人を分担して受け入れることを決めたが、既に100万人以上が欧州入りし、対策は追い付いていない。11月のパリ同時テロでは、一部の容疑者が難民に紛れて欧州入りしたことが判明し、テロリスト流入対策の不備が顕在化した。欧州各国は国境審査を相次いで強化しており、欧州統合の柱である「域内移動の自由」も揺らいでいる。
 写真は、欧州入りを目指し、トルコの幹線道路を歩き続ける難民の列=9月18日、トルコ北西部エディルネ 【AFP=時事】

3位・COP21でパリ協定採択
 パリ郊外で11月30日から開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)は、2020年以降の地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」を採択した。新枠組みの合意は現行の枠組みである京都議定書以来、18年ぶり。京都議定書が先進国だけに温室効果ガスの削減義務を課すのに対し、パリ協定は、途上国を含む196の全締約国に温室ガス削減目標の提出や5年ごとの見直しを義務付ける。
 COP21では、初日に安倍晋三首相、オバマ米大統領、習近平中国国家主席ら約150カ国の首脳が参加する会合を開き、温暖化対策への決意を確認。協定には、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を2度未満に抑えることを目標とし、1.5度未満にするよう努力する方針なども盛り込んだ。
 写真は、パリ協定を採択し、喜ぶ(手前右端から)フランスのオランド大統領とファビウスCOP21議長(フランス外相)、国連の潘基文事務総長ら=12月12日、フランス・パリ近郊 【EPA=時事】

4位・中国経済にブレーキ
 高度成長が続いてきた中国経済に陰りが見え始め、世界の金融市場に動揺が広がった。2015年7~9月期の経済成長率は6.9%と、リーマン・ショックの直撃を受けた09年1~3月期以来、6年半ぶりの低さ。景気減速を背景とした上海株急落に加え、中国人民銀行(中央銀行)による突然の人民元切り下げもあり、東京やニューヨーク市場を巻き込んだ世界同時株安が起きた。
 中国は利下げや減税、公共投資拡大などを通じて景気下支えを図り、乗用車販売が急回復するなど、一定の効果は表れている。ただ、個人消費が経済全体を引っ張るほどの勢いはなく、製造業の低迷や不動産市場不振が重くのしかかる。習近平国家主席の指導部は高度成長を追求しない新時代を「新常態(ニューノーマル)」と呼び、急減速を回避しながら安定成長への移行を目指している。
 写真は、証券会社で株価ボードを見守る中国の投資家=8月25日、北京 【EPA=時事】

5位・ギリシャ金融危機
 欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)などから金融支援を受けているギリシャで1月、支援条件である緊縮財政の破棄を掲げた急進左派連合(SYRIZA)中心の連立政権が誕生し、ユーロ導入後初の参加国離脱が一気に現実味を帯びた。支援継続をめぐるEUとの交渉は難航を極め、世界の金融市場に激震が走った。
 ギリシャのチプラス首相はぎりぎりまで緊縮に抵抗したものの、国民投票を経てEUが交渉の最終期限とした7月に緊縮策の受け入れを決断。両者は新たな支援策で合意し、ギリシャの脱ユーロという最悪の事態は土壇場で回避された。ただギリシャはこれまでにも巨額支援を受けており、EUなどに債務負担の軽減を求めている。債権団はギリシャが改革を遅滞なく実行すれば、2016年にも軽減策の協議に応じる姿勢を示している。
 写真は、欧州連合(EU)が金融支援の条件として要求した財政緊縮策に、国民投票で反対意志を示すよう呼び掛けるギリシャのチプラス首相=7月1日、アテネ【AFP=時事】

6位・米軍、南シナ海で「航行の自由作戦」
 中国が人工島を造成し、軍事拠点化を進める南シナ海で10月、米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」が人工島から12カイリ(約22キロ)以内の海域を通過する「航行の自由作戦」を行った。これに対し、南シナ海の島々は固有の領土だと主張する中国は「強烈な不満と断固たる反対」を表明。米中のせめぎ合いに緊張が高まった。
 中国は南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の人工島周辺を「領海」と主張している。しかし、米艦が今回接近した人工島は、埋め立て前は満潮時に水没する暗礁で、周辺海域は国際法上、領海と見なされない。米国は軍艦派遣により、中国の主張は認められないとの立場を内外に示した。米軍は艦船・航空機の派遣を繰り返す考えで、南シナ海問題をめぐり、米中の駆け引きが続きそうだ。
 写真は、南シナ海で米空母セオドア・ルーズベルト(中央)に乗艦後、垂直離着陸輸送機オスプレイで艦を離れるカーター米国防長官=11月5日、米国防総省提供【AFP=時事】

7位・アジア投資銀と人民元SDR
 中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設が決まった。北京に本部を置き、初代総裁も中国人が就く。途上国のインフラ整備を資金面で支援する。米国を中心とする現在の国際金融秩序に対抗する狙いがあると言われ、日米は参加を見送った。英国、ドイツ、フランス、イタリアは加わり、先進7カ国(G7)内で対応が割れた。6月に開かれた設立協定署名式には、57カ国の代表が集まった。
 また、国際通貨基金(IMF)は11月、中国の人民元を「特別引き出し権(SDR)」と呼ぶ準備資産の算定基準通貨に2016年10月に加えると決定した。元はドル、ユーロ、日本円、英ポンドと並ぶ国際通貨に躍り出る。日米は、中国の台頭を警戒していたが、中国との経済関係強化を望む欧州諸国が支持に回り、押し切られる形となった。
 写真は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立協定の署名式に出席した創設メンバー国の代表ら=6月29日、北京 【EPA=時事】

8位・VWが排ガス不正
 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が排ガス検査をすり抜けるため、検査時のみ窒素酸化物(NOx)の排出量を少なくする不正なソフトウエアを一部ディーゼル車に搭載していたことが、米環境保護局(EPA)の調査で9月に発覚した。問題車両は世界で最大1100万台に達する。当時のウィンターコルン会長は引責辞任に追い込まれ、後任にVW傘下のポルシェ社長だったミュラー氏が就任した。
 VWへの非難の声が噴出し、震源地の米国をはじめ各国で賠償請求訴訟などが相次ぐ一方、独検察当局は本社の家宅捜索に着手、刑事責任追及の動きも進む。リコール(回収・無償修理)対策費の損失に加え、ブランド価値の失墜から販売面にも影響が出始め、VWの経営を揺るがす事態に発展した。
 写真は、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲンの自動車工場=9月30日、ドイツ・ウォルフスブルク【AFP=時事】

9位・イラン核協議最終合意
 欧米など主要6カ国とイランが7月、同国の核開発能力の制限と国際原子力機関(IAEA)による査察の受け入れ、欧米側による経済制裁の段階的解除に取り組む「包括的共同行動計画」で最終合意した。合意は10月に発効し、イランは遠心分離器の撤去に着手。IAEAは12月、過去のイラン核疑惑の解明に終止符を打つ決議を採択した。日本もイランとの関係強化へ動き始めている。
 核兵器開発疑惑は2002年に顕在化。イランは03年にウラン濃縮活動停止に同意したが、保守強硬派アハマディネジャド政権下の06年に再開し、欧米は経済制裁で応じた。13年に本格化した核協議も長期化した。最終合意は「核なき世界」を訴えるオバマ大統領にとって大きな実績。今後は対イラン制裁解除など合意内容の着実な履行に焦点が移る。
 写真は、ウィーンでのイラン核協議に参加した関係国外相ら。右端がケリー米国務長官、右から5人目がザリフ・イラン外相=7月14日【EPA=時事】

10位(1)・米・キューバ国交回復
 米国とキューバは7月、54年ぶりに国交を回復した。両国はキューバ革命後の1961年に断交したが、中南米での影響力再構築を目指す米国と、経済苦境からの脱却を急ぐキューバの思惑が一致。米ソ冷戦の遺物だった対立の歴史は、半世紀超を経て大きく転換した。
 オバマ大統領とカストロ国家評議会議長は4月、両国首脳として、59年ぶりに会談。米国は5月にキューバのテロ支援国家指定を解除したほか、8月にはハバナで米大使館の再開式典を開いた。ただ、米国が62年から科している経済制裁については、キューバの人権改善などの状況に応じて解除を検討する。これに対し、キューバ側は「(完全な)正常化は経済、商業、金融の封鎖が終わってのみ達成される」(カストロ議長)と反発している。
 写真は、握手するキューバのラウル・カストロ国家評議会議長(左)とオバマ米大統領=4月11日、パナマ市【AFP=時事】

10位(2)・米、9年半ぶり利上げ
 米連邦準備制度理事会(FRB)は12月、リーマン・ショック後の金融危機に対応して導入した事実上のゼロ金利を解除し、2006年6月以来9年半ぶりに利上げすることを決定した。政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は、従来の0~0.25%から0.25~0.5%に引き上げられ、異例の緩和策に終止符が打たれた。
 米国で雇用の改善や景気回復が進んだほか、2%の物価目標を達成できる見通しが強まったことが利上げの背景。金融緩和を続ける日欧との違いが鮮明となった。ただ、これまでのゼロ金利政策と量的緩和策で金融市場に供給された大量の資金の流れが今後急激に変化し、各国に打撃を与える恐れもある。FRBは市場の動向や経済情勢を注視しながら、今後の追加利上げを緩やかに進める方針だ。
 写真は、記者会見で利上げを発表する米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長=12月16日、ワシントン【EPA=時事】

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