図解
※記事などの内容は2008年12月掲載時のものです
◇国内10大ニュース
1位・福田首相が辞任、麻生内閣発足
9月1日夜、福田康夫首相(当時)は首相官邸で緊急会見し、退陣を表明、国内外に衝撃を与えた。与党内で求心力が低下する中、衆院選時期や国会対応で公明党との対立が露呈。民主党が対決姿勢を強め、「ねじれ国会」乗り切りや政権維持は困難と判断した。しかし、安倍晋三氏に続く首相の「政権投げ出し」に、野党からは「無責任極まりない」などと批判を浴びた。後継を決める同22日の自民党総裁選では麻生太郎氏が他の4候補を破って圧勝。第23代総裁に選出された。麻生氏は同24日召集の臨時国会で第92代、59人目の首相に指名された。同日夜、新内閣は発足。与党にとって「選挙の顔」として期待された麻生首相だが、失言や政策をめぐる発言のぶれなどで内閣支持率は急落し、政権運営は厳しさを増している。
写真は、初閣議を終え記念撮影に臨む麻生太郎首相(最前列中央)と新閣僚=9月25日未明、首相官邸【時事通信社】
2位・秋葉原で通り魔、7人死亡
6月8日午後零時半ごろ、東京・秋葉原の歩行者天国で、トラックが交差点に突っ込んだ上、男が降りて殺傷力の強いダガーナイフで通行人を刺し、7人が死亡、10人が負傷した。警視庁は殺人未遂の現行犯で加藤智大被告(26)を逮捕した。同被告は職場を転々としており、携帯電話サイトの掲示板に、日常の行動や職場での不満を書き込んでいた。事件当日には「秋葉原で人を殺します」との犯行予告も記していた。調べには「人生のうっ憤のようなものが出て嫌になった。現実でも、ネットでも孤独になった。無視され、どうせやるなら大きな事件を起こそうと考えた」と供述した。東京地検は10月、刑事責任能力の有無を調べる鑑定留置を経て、殺人罪などで起訴した。
写真は、連続殺傷事件があった現場(東京・千代田区外神田)【時事通信社】
3位・日本人4人にノーベル賞
今年のノーベル賞は日本人研究者4人が受賞した。物理学賞が、南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授(87)、益川敏英・京都産業大教授(68)、小林誠・高エネルギー加速器研究機構名誉教授(64)の3氏。化学賞は下村脩・元米ウッズホール海洋生物学研究所上席研究員(80)に贈られた。日本人受賞は6年ぶりで、日本中が明るいニュースに沸いた。南部、下村両氏は約50年前に渡米。米国での研究成果が認められた。南部氏は米国籍を取得。日本にも優れた才能を呼び込む施策の充実が必要との声が上がった。政府は11月、基礎科学力の充実を目指し、歴代ノーベル賞受賞者に意見を求める懇談会の初会合を開いた。ストックホルムでの授賞式には、妻の健康を理由に欠席した南部氏を除き、3人が出席した。
写真は、益川敏英、小林誠、南部陽一郎、下村脩の各氏(左から)【時事通信社】
4位・東証、バブル後最安値の7162円90銭
米国発の金融不安が世界中に拡大し、東京株式市場でも株価が大暴落。日経平均株価は10月27日、終値ではバブル後最安値となる7162円90銭まで下落した。1982年10月以来およそ26年ぶりの低水準だった。昨年末からの下落率は最大53%超に達し、企業活動や個人消費の冷え込みに拍車を掛けた。9月以降は米金融大手リーマン・ブラザーズの倒産で株の投げ売りが加速。中でも10月16日は欧米の大手金融機関の連鎖倒産懸念から11.4%安と1953年のスターリン暴落を超える下げ率を記録し、87年のブラックマンデーの14.9%安に次ぐ過去2番目の急落となった。政府は空売り規制など緊急対策を発動したが、日米景気の先行き不安は根強く、年末を前に株価は不安定な動きを続けている。
写真は、急落した日経平均株価を示すボード=10月27日、東京・八重洲【時事通信社】
5位・中国製ギョーザで中毒、殺虫剤メタミドホス検出
中国製冷凍ギョーザを食べた千葉、兵庫両県の3家族10人が中毒症状を訴え、うち女児が一時意識不明になったことが1月末に発覚。日本で農薬使用が禁じられている有機リン系殺虫剤メタミドホスが検出された。製造元は中国河北省の食品会社「天洋食品」。高濃度だったことから人為的混入の疑いが強まり、日中の警察当局が捜査を開始した。日本側は、メタミドホスが袋の内側から検出された上、成分に不純物が含まれており、日本で使われている高純度の試薬用とは異なるとして、国内の混入を否定。中国側は国内での混入可能性は極めて低いと主張した。しかし、中国で製造元関係者が事件後の回収品を食べ、中毒症状を起こしたことが8月に判明。中国の公安当局は同社工場での混入を視野に捜査を進めている。
写真は、回収された中国製冷凍ギョーザを調べる輸入元会社の従業員=2月1日、茨城県境町の日本たばこ産業食品事業本部品質管理部【時事通信社】
6位・北島が連続2冠、女子ソフトは悲願の金
8月の北京五輪で日本勢は9個の金メダルを獲得。アテネ五輪の金16には及ばなかったが、競泳男子で北島康介が平泳ぎの100、200メートルを制し、2大会連続2冠の偉業を達成した。次回ロンドン五輪で実施されないソフトボールでは、日本が決勝で米国を破って悲願の金メダル。エース上野由岐子は2日で3試合を投げ切る力投を演じた。柔道では男子100キロ超級の石井慧が金。同66キロ級の内柴正人、女子63キロ級の谷本歩実、70キロ級の上野雅恵は連覇。レスリングでも女子55キロ級の吉田沙保里と63キロ級の伊調馨がアテネに続いて頂点に立った。このほか、フェンシングでは男子フルーレで2位となった太田雄貴が日本選手史上初のメダル獲得。期待された野球の「星野ジャパン」は4位に終わり、メダルを逃した。
写真は、100メートル平泳ぎで優勝し、ガッツポーズをする北島康介(8月11日、写真左)とソフトボールで金メダルを獲得し、抱き合って喜ぶ日本のエース・上野由岐子(右)と捕手・峰幸代のバッテリー=8月21日、北京【時事通信社】
7位・後期高齢者医療制度(長寿医療制度)スタート
75歳以上の約1300万人が加入する「後期高齢者医療制度」(長寿医療制度)が4月にスタートした。高齢化で増え続ける医療費について、高齢者と現役世代の分担割合を明確にすることなどが導入の狙いだったが、当初から「年齢で区分する差別的な制度」との批判が噴出した。それまで加入していた国民健康保険などと比べて保険料が急激に上がった人も多く、厚生労働省の説明不足が批判の的になった。年金から保険料を天引きする仕組みも反発を招いたため、政府・与党は口座振替との選択制にすることを決めた。さらに、制度の見直し案を来春をめどにまとめる方針だ。民主党など野党4党は同制度の廃止法案を国会に提出している。
写真は、「おばあちゃんの原宿」で知られる東京・巣鴨の地蔵通り商店街【時事通信社】
8位・元厚生次官宅連続襲撃事件で3人死傷
11月17日夕、さいたま市の元厚生事務次官夫妻が自宅で刺殺され、翌18日夕には東京都中野区で別の元次官の妻が刺されて重傷を負った。22日夜、無職小泉毅容疑者(46)が車で警視庁本部に出頭。「34年前、保健所に犬を処分された。あだ討ちだ」と供述した。凶器の刃物を持参しており、銃刀法違反容疑で逮捕された。同容疑者は「昔は厚生大臣を殺そうとしたが、大学時代に高級官僚が悪だと分かって狙った」と語った。10年前、同市に転居して計画を具体化。妻も合わせて10人殺害をもくろんだ。両事件後に警戒が厳しくなり、続行を考え抜いた末に断念した。12月4日、両事件の殺人容疑などで再逮捕され、特異な動機の解明が続いた。
写真は、移送のため警視庁を出る小泉毅容疑者=12月4日、東京都千代田区【時事通信社】
9位・岩手・宮城内陸地震で死者・不明者23人
6月14日午前8時43分ごろ、岩手県内陸南部を震源地とするマグニチュード7.2の岩手・宮城内陸地震が発生し、宮城県栗原市と岩手県奥州市で震度6強を観測した。死者・行方不明者は両県と福島、秋田各県で23人、重軽傷者は約450人。住宅被害は全半壊が170棟を超えた。避難指示・勧告が一部地域で続き、被災者は仮設住宅や親族宅などに身を寄せた。河川が土砂でせき止められた「土砂ダム」も宮城、岩手の県境付近で相次ぎ発生。大雨による水位上昇で決壊する恐れや降雪の影響も心配されている。一方、気象庁と総務省消防庁は震度の大きさに比べ、建物被害が少なかった実情を踏まえ、震度と被害の目安との関連を示す「解説表」の内容見直しを検討している。
写真は、岩手・宮城内陸地震でがけ崩れが起き、寸断された道路=6月14日、宮城県栗原市(時事通信社ヘリコプターより)【時事通信社】
10位・戦後最長の拡大に終止符、月例経済報告
政府は8月の月例経済報告で、基調判断を「景気回復は足踏み状態」から「景気はこのところ弱含んでいる」に下方修正し、景気が後退局面に入ったことを認めた。これにより、2002年2月に始まり、いざなぎ景気(57カ月)を超えた戦後最長の景気拡大に終止符が打たれた。米経済の減速や原油高を背景に、けん引役の輸出の落ち込みが要因。企業は設備、雇用、債務の3つの過剰を解消し業績を回復させたが、賃金は抑制され、戦後最長と言われながらも実感に乏しい景気拡大とされる。内閣府は来年1月29日に学識者による「景気動向指数研究会」を開き、景気後退の時期を正式に確定する。民間エコノミストの間では、07年10-12月の景気後退が大勢だ。
写真は、月例経済報告等に関する関係閣僚会議に臨む福田康夫首相(当時=右から2人目)と与謝野馨経済財政担当相(同3人目)ら=8月7日、首相官邸【時事通信社】
◇海外10大ニュース
1位・金融危機が世界に波及、株価暴落
米国の住宅バブルが崩壊し低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げ付きが多発したことで、米欧金融機関の経営が急速に悪化、世界的な金融危機に発展した。9月には、米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)を受け、危機が深刻化。議会で金融安定化法案が否決されると、米株価が暴落し、ダウ工業株30種平均は史上最大の下落幅777ドルを記録した。10月に修正後の法案が成立したものの、株価は約4年ぶりに1万ドルを割り込んだ。危機は新興国にも波及。主要中央銀行による同時利下げ、金融機関への公的資金注入、市場への資金供給などが講じられ、金融サミットで景気てこ入れ策が合意されたものの、世界経済は「大恐慌以来」の深刻なリセッション(景気後退)に陥るとみられている。
写真は、NY株が777ドル安と、史上最大の下げ幅を記録した9月29日、ニューヨーク証券取引所【AFP=時事】
2位・米大統領選でオバマ氏当選
ブッシュ共和党政権の次の政権を決める米大統領選は11月4日、投開票が行われ、「変革」を掲げて旋風を起こした民主党のバラク・オバマ上院議員が共和党のジョン・マケイン上院議員を大差で破り、第44代大統領に当選した。黒人(アフリカ系)大統領の誕生は米史上初。8年ぶりに政権を奪還した民主党は、同時に実施された上下両院選でも議席を伸ばし、両院の過半数を維持した。オバマ氏は新政権の閣僚人事で、民主党の大統領候補指名を激しく争ったライバルのヒラリー・クリントン上院議員を国務長官に起用。オバマ氏には国際的にも高い期待が寄せられているが、未曽有の金融危機に見舞われた米経済の再生や、「対テロ戦争」など山積する難題にどう取り組むか、来年1月の就任早々手腕が試される。
写真は、米大統領選に勝利し、集まった支持者に手を振るオバマ氏(左)とミシェル夫人(右)。中央の2人は娘=11月4日、シカゴ【時事通信社】
3位・中国四川省で大地震
5月12日、中国四川省を震源とするマグニチュード(M)8.0の大地震が発生した。死者・行方不明者が8万人超の大惨事となり、北京五輪を控えた胡錦濤指導部に大きな衝撃を与えた。最も大きな被害を受けたのは、当時授業中だった子供らで、校舎倒壊で6500人以上が死亡。背景には校舎建設費を安く抑えるための手抜き工事という根深い問題が潜んでいた。温家宝首相が迅速に被災地で陣頭指揮を執ったほか、震災直後には内外メディアの自由な取材を認めるなど異例の政府の対応に注目が集まった。さらに日本の国際緊急援助隊が他国に先駆けて駆け付け、中国の対日感情好転につながった。政府は復興に全力を挙げているが、被災地が負った傷跡は大きい。
写真は、救出作業を行った中国四川省北川県の中学校で、地震発生時刻に合わせ黙とうする日本の国際緊急援助隊員=5月19日【時事通信社】
4位・北京五輪開催
第29回オリンピックが8月8日から24日まで、北京を中心に開催された。1964年東京、88年ソウルに次ぎ、アジアで3度目の夏季五輪。「一つの世界 一つの夢」をスローガンに、史上最多の204カ国・地域が参加し、28競技、302種目が実施された。大会中、43の世界記録が誕生。競泳、陸上の2大スターの活躍が際立った。競泳男子のマイケル・フェルプス(米国)はリレーを含めて世界新記録7をマークし、史上最多となる1大会8個の金を獲得。アテネ大会での6個と合わせ、通算金メダルも史上1位の14個となった。陸上男子ではウサイン・ボルト(ジャマイカ)が100メートルで9秒69、200メートルでは19秒30と驚異的な世界新で優勝。400メートルリレーも世界新で制した。
写真は、開会式が行われたメーンスタジアムの国家体育場=8月8日、北京【時事通信社】
5位・穀物など商品価格急騰、原油は1バレル147ドルに
中国、インドなどの成長著しい新興国からの需要拡大や投機的取引により、原油、穀物、金属などあらゆる商品の価格が今年夏場にかけて急騰。これに伴い、ガソリン価格、航空運賃、電気・ガス料金、食品価格が上昇し、国民生活に多大な影響を与えた。食品の値上がりは、石油の代替燃料としてエタノールなどバイオ燃料の需要が高まり、原料のトウモロコシなどが飼料・食料用からバイオ燃料用に振り向けられたことも要因となった。ニューヨーク市場の原油先物相場は7月に史上最高値となる1バレル=147.27ドルまで上げたが、その後、米国発の金融危機の拡大で需要が減退するとの見方から約3分の1の水準まで急落。他の商品価格も同様に下落し、物価全般は落ち着きを取り戻しつつある。
写真は、シカゴ近郊のガソリンスタンドの価格表。史上初めて1ガロン=4ドルを突破した【AFP=時事】
6位・チベット暴動、各地の聖火リレー混乱
チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世がインドに亡命する契機となったチベット動乱から49周年を迎えた3月14日、チベット自治区ラサでチベット人僧侶らが中国による「圧政」に抗議、大規模暴動に発展した。中国側は武装警察などを動員、双方に多数の死傷者が出た。ラサの暴動は、四川省や甘粛省、青海省などのチベット人居住区に飛び火。中国政府は「北京五輪破壊を狙ったダライ・ラマ一派による謀略・扇動だ」と強硬姿勢を強めた。一方、国際社会は中国による鎮圧を批判し、欧州の一部首脳からは五輪開会式ボイコット論が浮上。聖火リレーもチベット支援者らがロンドンやパリなどで妨害するなど混乱し、中国は「五輪の政治化」に神経をとがらせた。
写真は、ロンドンで行われた聖火リレーに抗議活動をし、警官に取り押さえられた男性=4月6日【AFP=時事】
7位・ロシア軍がグルジア侵攻
グルジアからの独立を求めている南オセチア自治州南部でグルジア軍部隊が南オセチア部隊と交戦したことをきっかけに、ロシアが8月8日、本格的に軍事介入。州都ツヒンバリを制圧後、黒海沿岸のポチや中部のゴリなどグルジア各地に戦線を拡大した。旧ソ連構成国同士の交戦は、ソ連邦崩壊後初めて。国際社会は、伝統的影響圏を守るためには武力行使も辞さないロシアの姿勢を一斉に非難。米国は主要8カ国(G8)からロシアを排除する可能性に言及するなど、米ロ関係は「新冷戦」と形容されるほど冷却化した。フランスの調停で和平合意が実現したが、ロシアは同自治州とアブハジア自治共和国の独立を一方的に承認。両地域との軍事協力を含む友好条約に調印し「独立」の既成事実化を進めた。
写真は、グルジア南オセチア自治州に近い村で、炎上する家屋のそばを通り過ぎるロシア軍装甲車=8月18日【AFP=時事】
8位・米3大自動車メーカーの経営悪化、合併模索も
ガソリン価格高騰と金融危機が米産業界の象徴であるビッグスリー(3大自動車メーカー)の経営を直撃。ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラーの3社首脳は米議会の公聴会に出席、政府支援を求めた。ビッグスリーの主な収益源だったスポーツ用多目的車(SUV)など大型車は、ガソリン高で燃費の悪さが敬遠されて販売が減少。金融危機に伴う信用収縮で自動車ローンが借りにくくなったことや、景気後退が追い打ちを掛け、3社の業績は急速に悪化した。議会と政府はビッグスリーへのつなぎ融資法案について協議したが合意できず、廃案になった。特に資金繰りが厳しいGMとクライスラーをめぐっては、経営再建のための合併の可能性も取りざたされている。
写真は、米議会での証言に臨むビッグスリー(3大自動車メーカー)の首脳ら。(左から)ゼネラル・モーターズ(GM)のワゴナー会長兼最高経営責任者(CEO)、クライスラーのナルデリ会長兼CEO、フォード・モーターのムラーリー社長兼CEO=11月19日、下院の公聴会【AFP=時事】
9位・インド・ムンバイで同時テロ
インド西部ムンバイの高級ホテルや鉄道駅を狙って、銃乱射や爆発を伴う同時多発テロが11月26日に発生した。武装した男らがホテルを2日超にわたり占拠。治安部隊が鎮圧するまでに160人以上が死亡し、三井丸紅液化ガスの津田尚志さん(38)も犠牲になった。パキスタンのイスラム過激派ラシュカレトイバや同国の情報機関、三軍統合情報局(ISI)の関与が疑われ、インドのムカジー外相が「パキスタンの一部分子の犯行」と激しく非難するなど核保有国同士の緊張の高まりに懸念が広がった。印パ関係の悪化は、米国がアフガニスタンで進める「テロとの戦い」に影響を与えかねず、事件後直ちにライス国務長官が両国を歴訪。インドに自制を促し、パキスタンには捜査への協力を求めた。
写真は、武装グループの襲撃を受け、炎上するタージマハルホテル=11月26日、インド西部ムンバイ【AFP=時事】
10位・北朝鮮のテロ支援国指定解除
米政府は10月11日、北朝鮮の核計画の検証手続きに関して同国と合意したと発表、見返りとして、北朝鮮のテロ支援国指定を解除した。解除は1987年の大韓航空機爆破事件をきっかけに翌年1月に指定されて以来20年ぶりで、米朝関係改善に向けた一歩となる。一方、日本は拉致問題の解決のためのてこを失い、「置き去り」懸念が強まっている。北朝鮮は指定解除を受けて、核施設の無能力化作業を再開、6カ国協議を通じた朝鮮半島非核化のプロセスは維持された。ただ、米朝合意のうち、サンプル(試料)採取など一部は口頭了解のみで実効性が疑問視されている。また、金正日労働党総書記が8月に脳卒中で倒れたとの情報が流れ、その後姿を見せないことから、総書記重体説も核問題の行方に暗雲を漂わせている。
写真は、テロ支援国指定解除後、爆破された北朝鮮・寧辺核施設の原子炉冷却塔=6月27日、中国中央テレビの映像から【AFP=時事】
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