図解
※記事などの内容は2007年12月掲載時のものです
◇国内10大ニュース
1位・安倍首相突然の辞任、福田内閣発足
参院選惨敗後も続投した安倍晋三首相(写真右)は、海上自衛隊によるインド洋での給油活動の根拠法で11月1日で期限が切れるテロ対策特別措置法の延長に職を賭す決意を示し、参院の主導権を握る民主党の小沢一郎代表に党首会談を申し入れたが、拒否された。政権運営に行き詰まった安倍首相は9月12日、国会での各党代表質問の直前に突如退陣を表明。記者会見で、自らの辞任による「局面の打開」を強調したが、その後、健康の悪化が最大の理由であることを明かし、陳謝した。
自民党は党所属国会議員と都道府県連代表による総裁選を実施し、ほとんどの派閥から支持を得た福田康夫元官房長官(写真左)が麻生太郎幹事長に大差で勝利。同月25日、国会で第91代、58人目の首相に指名され、福田内閣が発足した。
写真は、【時事通信社】
2位・参院選で自民、歴史的敗北
安倍政権下で初の本格的な国政選挙となった第21回参院選は7月29日に投開票された。自民党は、年金記録漏れや閣僚の不透明な事務所費・失言で逆風にさらされ、改選(64議席)を大きく下回る37議席と、過去最低だった1989年の36議席に次ぐ大敗を喫した。非改選と合わせても83議席で、保守合同で臨んだ56年の参院選以降、最低となった。連立を組む公明党も議席が減少。民主党は60議席を獲得し、参院で第1党になった。この結果、与党は参院で過半数を失い、衆院と参院とで多数派が異なる「ねじれ」が生じた。
安倍首相は「政治の空白は許されない」などとして続投し、8月27日に内閣改造を断行。態勢の立て直しを図ったものの、9月に退陣に追い込まれた。
写真は、浮かない表情で開票状況を見守る安倍晋三首相(左)と中川秀直自民党幹事長(東京・永田町の同党本部)【時事通信社】
3位・年金記録未統合5000万件が判明
公的年金を個人ごとに一元管理するための基礎年金番号に統合されていない加入記録が、厚生・国民年金で約5000万件に上るとの事実を社会保険庁が4月に公表した。安倍首相は来年3月までに照合作業を終わらせるなどとした対策を発表したが、この問題は参院選で争点化し与党大敗につながった。
年金記録ミスは1964年以前からあり、原因究明に当たった総務省の年金記録問題検証委員会は、問題を長期間放置した歴代社保庁長官らの責任が最も重いと糾弾。約1975万件はコンピューター上での本人特定が困難とみられ、「最後の1人、最後の1円まで年金を支払う」とした政府公約の達成は事実上不可能になった。
写真は、年金記録漏れ問題についてのチラシを配る村瀬清司社会保険庁長官(中央)と、受け取らず足早に通り過ぎるサラリーマンやOL(東京・丸の内)【時事通信社】
4位・防衛汚職で守屋前次官と妻逮捕
「防衛省の天皇」と呼ばれた守屋武昌前事務次官(写真)が防衛専門商社「山田洋行」の宮崎元伸元専務から過剰なゴルフ接待を受けていたことが判明した。同社の内部調査で、日帰りのゴルフ接待は8年間で300回以上、経費の合計は1500万円を超えた。東京地検特捜部は11月28日、12回計389万円相当のゴルフ旅行接待がわいろに当たると判断、防衛装備品調達で便宜を図った見返りだったとして、守屋前次官と妻を収賄容疑で逮捕、宮崎元専務を贈賄容疑で再逮捕した。前次官の妻は収賄の「身分なき共犯」とした。
接待のほかに、個人的な飲食の付け回しや20万円の「還暦祝い」、三百数十万円の資金提供も明らかになっており、巨額の防衛利権をめぐる官業癒着の構図が浮き彫りになった。
写真は、【時事通信社】
5位・各地で食品偽装発覚
1月に大手菓子メーカーの不二家が消費期限切れ牛乳を使用してシュークリームを作っていたことが発覚。洋菓子製造・販売の長期休止を余儀なくされ、創業家一族の社長が引責辞任した。その後も、北海道の食品加工卸会社ミートホープのひき肉偽装事件、人気土産「白い恋人」の賞味期限改ざん、伊勢の老舗和菓子屋・赤福の製造年月日改ざんなどと不祥事は全国で後を絶たず、日本人の食への信頼が大きく揺らいだ。秋田の比内地鶏、名古屋コーチンに代表される地鶏でも偽装表示が相次ぎ、高級料亭「船場吉兆」は牛肉の産地を偽装したとして11月に大阪府警の家宅捜索を受けた。
写真は、記者会見を終え再度深々と頭を下げる船場吉兆の湯木佐知子取締役(手前)【時事通信社】
6位・中越沖地震で死者11人、柏崎刈羽原発でトラブル多発
7月16日午前10時13分、新潟県中越沖でマグニチュード(M)6.8の地震が発生。柏崎市などで最大震度6強の揺れを記録し、計11人が死亡(関連死含まず)、2000人以上が重軽傷を負い、建物の全壊も約1200棟に上った。
震源地から約16キロ離れた東京電力柏崎刈羽原発でも原子炉が緊急停止し、変圧器火災や微量の放射能漏れなどのトラブルが発生。原子炉本体に大きな異常はなかったが、事務系の建屋や消火配管、タービンなど広範囲に損傷が見られた。
また、自衛消防組織の不備や情報伝達の不手際、断層の過小評価などの問題も露呈。各電力会社も危機管理体制の整備や周辺地盤の再調査などに追われた。国際的な関心も高く、国際原子力機関(IAEA)の調査団も派遣された。
写真は、黒煙(中央)が上がる東京電力の柏崎刈羽原子力発電所(16日午前、新潟県)[第9管区海上保安本部提供]【時事通信社】
7位・「大連立」頓挫、小沢民主代表が辞意
福田康夫首相(自民党総裁)と民主党の小沢一郎代表が10月30日、11月2日と続けて会談(写真)。首相は2回目の会談で、国会の「ねじれ」状況の打開を目指し、自民、民主両党による「大連立」を打診した。小沢氏は提案を持ち帰り、同日夜の緊急役員会で協議に入ることへの了承を求めたが、全員が反対。小沢氏は首相に電話をかけ、提案拒否を伝えた。
小沢氏は2日後の同月4日、混乱を招いたけじめとして辞意を表明。政権担当能力が不足する党の現状などを指摘したが、鳩山由紀夫幹事長ら執行部を中心にした慰留を受け、7日に陳謝して辞意を撤回した。その際、党首会談の前から、首相サイドと人を介して「大連立」の話をしていたことを明かした。騒動は収束したが、党内には小沢氏への不信感が残った。
写真は、【時事通信社】
8位・海自、インド洋から撤収
テロ対策特別措置法が11月1日、期限切れとなり、同法に基づきインド洋上で給油活動をしていた海上自衛隊の部隊が撤収、6年間にわたった活動が中断した。参院選で大勝した民主党など野党が継続に反対したためで、安倍前首相は期限切れ前に辞任した。
政府は「テロとの戦いへの参加は国際社会の要請」として、活動再開に向けた新法を国会提出しているが、野党側は反対姿勢を貫いており、成立のめどは立っていない。
海自の給油活動は、米英などが進めるアフガニスタンでの国際テロ掃討作戦「不朽の自由作戦(OEF)」の一環。同法成立後の2001年12月以降、延べ59隻の補給艦と護衛艦を派遣、計11カ国の艦船に計794回、約49万キロリットルを給油した。
写真は、【時事通信社】
9位・国民投票法が成立
憲法改正手続きを定めた国民投票法が5月14日の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立。1947年の憲法施行後60年にして、改憲に必要な法的手続きが確立した。
憲法96条は、衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成で改正を発議し、国民の過半数の賛成で承認するとしているが、細部は定めていない。国民投票法は、衆院なら100人以上、参院なら50人以上の賛成で改正原案を国会に提出すると規定。発議を受けての国民の投票は、関連する項目ごとに行い、有効投票総数の過半数の賛成で承認とした。また、投票年齢は原則18歳以上で、成人や選挙権など年齢規定のある関連法が改正されるまでは20歳以上に据え置く。施行は2010年5月で、それまでは改正原案の提出はできない。
写真は、衆議院憲法調査特別委員会で野党議員が反対する中、採決を強行する中山太郎憲法調査特別委員会委員長(左から2人目)【時事通信社】
10位・日本列島74年ぶり猛暑、熊谷・多治見で40.9度
8月16日、埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で気温が40.9度まで上昇。1933年7月25日に山形市で記録した40.8度を上回り、国内観測史上最高気温が74年ぶりに更新された。8月は全国的に猛暑が続き、熱中症により救急車で病院に運ばれる人や死亡者が続出した。
気象庁によると、太平洋赤道域の中央部から東の海面水温が平年より低下するラニーニャ現象や、北半球の偏西風の蛇行の影響で太平洋高気圧の勢力が非常に強まったのが原因。同庁は地球温暖化と直接の関連はないとの見方を示すが、日本の夏の平均気温は過去100年間、上昇傾向にある。
写真は、国内観測史上最高気温の40.9度を記録した岐阜県多治見市内=8月16日【時事通信社】
◇海外10大ニュース
1位・米サブプライム問題、国際金融市場揺るがす
米国で低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げ付きが多発し、これをきっかけに世界の金融市場が大きく動揺した。リスクに対する警戒感が急速に高まり、8月以降、信用の収縮、株価急落、ドル安などが一気に加速した。ローン債権を証券化した金融商品に投資していたヘッジファンドや金融機関は相場の急落で巨額の損失を計上、資金繰り難に直面し、一部は破たんに追い込まれた。米国や欧州の中央銀行は市場に巨額の資金を供給。米国は利下げ、英国は住宅ローン会社への緊急融資に踏み込み、事態の沈静化を図った。これまでのところ、実体経済に大きな影響はないものの、サブプライム問題を発端とした市場混乱を理由に2008年の景気見通しは米国、欧州、日本いずれも下方修正された。
写真は、9月20日、低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題に関する米下院金融サービス委員会公聴会に出席した米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長(手前)【EPA=時事】
2位・6カ国協議、北朝鮮の核無能力化で合意
2月に北京で開かれた北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議は、北朝鮮がすべての核計画を申告し、既存核施設を一定期間使用できなくする「無能力化」を行うことで合意した。無能力化の対象となるのは寧辺の黒鉛減速炉など3施設で、北朝鮮は見返りとして重油100万トン相当の支援を受ける。北朝鮮は7月、この合意に沿って、核施設の稼働を停止。米専門家チームも秋に現地入りし、非核化プロセスが始まった。対北強硬姿勢から対話路線に転じたブッシュ米政権はこれに対応し、北朝鮮をテロ支援国リストから解除する方針を固め、米朝関係は正常化へ向け大きく進展する見通しとなった。日本政府は米側に慎重姿勢を求めている。しかし、年内とされた核無力化や核施設申告期限は守られず、不透明な要素も残っている。
写真は、9月30日、北京で6カ国協議の共同文書案に暫定合意し、手を取り合って写真撮影に応じる各国首席代表【AFP=時事】
3位・原油価格急騰、100ドル目前に
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)=写真=の原油先物相場が急騰し、1バレル=100ドルの大台に迫った。相場は11月20日に、一時99.29ドルと、史上最高値を更新。その後も高止まりが続いている。中国などの需要増大も原油高の原因だが、むしろ、世界的な低金利を背景にしたカネ余りの結果、投機的な買いが相場を押し上げたとみられる。
原油高は、日本でもガソリン価格の上昇を招き、レギュラーガソリン1リットル当たりの店頭価格(全国平均)は、11月中旬に初めて150円を突破した。米国では、原油相場の急騰が、物価上昇を通じ、消費など景気を圧迫する恐れもあり、低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題に次ぐ、経済の懸念要因となっている。
写真は、【AFP=時事】
4位・米軍が増派、イラクで混迷続く
ブッシュ米大統領は1月、イラク駐留米軍の兵力を2万人以上増強し、16万人規模とする新戦略を発表した。テロの頻発で国内情勢が混迷を深める中、大統領は増派による治安改善効果を強調、9月には08年夏までに増派前の水準に戻す考えを表明した。駐留米軍幹部も12月、06年12月に3000人だった民間人死者が07年10月に1000人以下に減少したなどと「成果」を誇示した。
しかし、国内政治はマリキ政権が宗派や派閥の利害対立で「機能不全」に陥る一方、米国内では厭戦(えんせん)ムードが拡大。CNNの11月の世論調査では、イラク戦争反対が68%と過去最高を記録した。イラク問題は08年の米大統領選の主要争点になり、軍撤退を主張する候補が当選すれば、イラク情勢悪化を招く可能性がある。
写真は、9月3日、イラクを電撃訪問し、アサド空軍基地で演説後、海兵隊員と並んで手を振るブッシュ米大統領(中央)【AFP=時事】
5位・温暖化に国際的関心、ゴア氏にノーベル賞
地球温暖化問題に対する国際的な関心が高まった。ゴア前米副大統領の講演活動を記録した映画「不都合な真実」が全世界で大ヒット。国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、温暖化の主因が人為的な温室効果ガスの増加だとほぼ断定して環境への影響を予測する報告書をまとめ、ゴア氏とともにノーベル平和賞を受賞した。温暖化対策は、6月のドイツ・ハイリゲンダム主要国首脳会議(サミット)でも最重要議題となり、各国が緊急に協調行動を取ることで一致。12月には国連の気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)と京都議定書第3回締約国会合(COP/MOP3)がインドネシア・バリ島で開かれ、2013年以降の「ポスト京都」の国際協定づくりに向けた行程表が協議された。
写真は、12月10日、ノルウェーの首都オスロで開かれたノーベル平和賞授賞式で、受賞記念メダルを贈られ、笑みを浮かべるゴア前米副大統領(左)。右は国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」のパチャウリ議長【AFP=時事】
6位・中国食品・製品への安全性問題深刻化
世界各国に輸出されている中国食品、製品に、鉛などの有害物質が含まれていることが次々に明らかになり、世界的に大問題となった。品目は魚介類などの食品のほか、ペットフード、薬品、練り歯磨き、電気製品、毛布、ベビーベッド、文具、玩具と極めて広範囲に及んだ。特に「きかんしゃトーマス」「バービー人形」、子供番組「セサミ・ストリート」のキャラクター商品といった子供に人気の高い玩具への有害物資の使用は、大きな騒ぎとなり、世界最大級の玩具メーカー、マテルなどは、中国の業者に生産委託していた商品について、日本を含めた世界各国での大規模な自主回収に奔走。米国、欧州連合(EU)、日本などは、中国側の安全対策の不備を強く批判し、安全基準の順守、徹底を求めた。
写真は、6月12日、北京の工商品質管理当局で品質検査を受ける各種の食品類【AFP=時事】
7位・仏大統領にサルコジ氏、英豪でも首相交代
フランス大統領選挙の決選投票が5月6日行われ、右派与党・国民運動連合(UMP)のサルコジ総裁が左派野党社会党のロワイヤル元環境相を破り、初当選した。一方、英国では6月27日、10年にわたる長期政権を率いてきたブレア首相が退任し、後任に与党・労働党のブラウン党首が就任。オーストラリアでは11月24日に行われた総選挙で野党労働党がハワード首相率いる与党保守連合に圧勝し、11年半ぶりに政権を奪還、労働党のラッド党首を首相とする新政権が発足した。サルコジ氏は2003年のイラク戦争に強硬に反対したシラク前大統領と異なり対米協調路線を打ち出したが、英豪での新政権誕生により、ブッシュ米大統領はイラク戦争を強力に支持したブレア、ハワード両氏の盟友2人を失った。
写真は、パリのコンコルド広場で、支持者とともに仏大統領選の勝利を祝うサルコジ氏(中央)【AFP=時事】
8位・ミャンマーで僧侶デモ、邦人カメラマン死亡
軍事政権による強権支配が続くミャンマーで8月から9月にかけ、燃料価格の引き上げをきっかけに反軍政デモが発生した。デモには国民の信頼の厚い僧侶も合流。軍政は当初は静観の構えだったが、デモの規模が拡大する一方、自宅軟禁下にある民主化運動の象徴アウン・サン・スー・チーさんがデモ隊の前に姿を現すと、武力弾圧に踏み切った。多数の市民が死傷したほか、ヤンゴンでデモを取材していた映像ジャーナリストの長井健司さんが兵士に至近距離から撃たれ、死亡した。
緊張の高まりを受け、国連のガンバリ事務総長特別顧問がミャンマーを訪問し、軍政トップのタン・シュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長やスー・チーさんと会談。仲介工作に乗り出したが、問題解決の糸口はつかめていない。写真は、長井さんが銃撃され、死亡する直前の現場付近。デモ隊と数列に展開した治安部隊がにらみ合っている。
写真は、【AFP=時事】
9位・イランが核開発本格化、国連が制裁強化
国連安保理は2006年12月に対イラン制裁決議を採択し、同国にウラン濃縮活動の停止を要求。イランの核開発が初めて国連制裁に直面した。安保理は07年3月に追加制裁を決議したが、イランは「平和利用」として核開発継続の正当性を主張。アハマディネジャド大統領は4月、ウラン濃縮活動が実験段階から産業段階に入ったと宣言した。米国は10月にイラン軍の精鋭部隊を対象に新たな経済制裁を発表し、独自に圧力を強化。安保理常任理事国も12月、制裁強化決議案の策定で合意した。しかし、その後の米情報機関の国家情報評価(NIE)は、イランが03年以降は核兵器開発を停止していたと発表、ブッシュ政権の武力行使をけん制した。制裁をめぐる主要国の足並みが再び乱れることも予想される。
写真は、9月25日、ニューヨークの国連総会で一般討論演説を行うイランのアハマディネジャド大統領【AFP=時事】
10位・ハマスがガザ制圧、中東和平挫折
昨年1月のパレスチナ評議会選挙に圧勝し、パレスチナ自治政府を掌握したイスラム原理主義組織ハマスと、アッバス自治政府議長の支持母体ファタハの支持者が衝突して混乱が続いていたガザ地区で、ハマスの治安部隊が今年6月、ファタハの治安機関やパレスチナ議長府を制圧した。アッバス議長はハマスが「軍事クーデター」を企てたとしてハマスのハニヤ首相を解任、親米派エコノミストのファイヤド首相率いる新政府を発足させた。
これにより、ハマスが支配するガザ地区と議長が権力を維持するヨルダン川西岸に分裂。仲介役の米国は、11月に中東和平会議を開催、2008年末までにイスラエルとの和平協定締結を目指す本格交渉開始で合意した。ただ、排除されたハマスは反発しており、和平交渉の進展は困難だ。
写真は、武器を携えて街頭を行進するイスラム原理主義組織ハマスの戦闘員【AFP=時事】
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