図解
※記事などの内容は2015年9月14日掲載時のものです
気象庁は14日、熊本県・阿蘇山の中岳(標高1506メートル)第1火口で同日午前9時43分ごろ、噴火が発生したと発表した。同9時50分に噴火速報を8月4日の運用開始以降、初めて発表。続いて同10時10分、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。火口から2キロの範囲では、大きな噴石に警戒するよう呼び掛けている。県によると14日午後1時現在、けが人の情報はない。
気象庁によると、噴火に伴い、火口から弾道を描いて飛ぶ大きな噴石が確認された。噴煙は火口から2000メートルの高さまで上がり、火口周辺1キロ以内で火砕流が発生した可能性がある。北川貞之火山課長は記者会見で「より大規模な噴火の恐れを示すデータはないが、この程度の規模の噴火は発生する可能性があるので、警戒してほしい」と述べた。
阿蘇市などによると、噴火当時、火口から約1キロの阿蘇山上広場には観光客や職員ら約30人がいたが、全員避難した。火口東側の仙酔峡付近にいた車2台も避難した。観光施設などがある草千里や中岳第1火口付近に向かう県道阿蘇吉田線は、火口から4キロ付近で通行を規制した。
熊本空港を発着する国内線では、欠航や行き先の変更が相次いだ。
気象庁によると、阿蘇山は昨年11月から活動がやや活発になり、今年6月ごろ沈静化した。中岳第1火口では今月10日と11日、ごく小規模な噴火が起き、噴煙が火口から500メートルまで上がった。
14日は午前9時すぎから連続的な火山性微動が観測され、噴火後の同47分ごろ振幅が最大となった。これまでの噴火より規模が大きく、気象庁は噴火の約7分後に噴火速報を出した。
噴火速報は、昨年9月に長野・岐阜県境の御嶽山で起きた噴火で多数の犠牲者が出たことを受け導入された。北川課長は「噴火速報は警戒レベルを上げる必要が生じた場合に発表するため、このくらいの時間がかかることはあり得る」と説明した。
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