図解
※記事などの内容は2015年5月30日掲載時のものです
鹿児島県・口永良部島の新岳について、火山噴火予知連絡会(会長・藤井敏嗣東京大名誉教授)は30日午後、拡大幹事会を開き、29日午前の火砕流を伴う爆発的噴火は「マグマ水蒸気噴火だったと考えられる」と発表した。規模は昨年8月3日の噴火を超え、「今後も同程度の噴火が発生する可能性がある」という。
委員の井口正人京都大防災研究所教授は記者会見で、昨年からの噴火は多数の死者・負傷者が出た1931~34年の噴火活動期の始まりとよく似ていると指摘。今後2~3年の警戒が必要であり、島民の避難は「最大で年単位になることを考えておかないといけない」と述べた。
マグマ水蒸気噴火は、地下水がマグマに接触し、水蒸気となって爆発的に噴出するタイプ。気象庁の機動観測班が避難前に採取した火山灰を分析した結果、新しいマグマの噴出物が少し含まれていたため、分類できた。
しかし、地下に蓄積されたマグマの総量が400万立方メートル程度と推定されるのに対し、今回のマグマを含む噴出物は100万立方メートルもない。このため「今後、もっとマグマが関与した噴火が十分あり得る」(藤井会長)という。
気象庁は爆発的噴火から連続していた噴火が30日午前に停止したと発表したが、藤井会長は「一時的に静かになっただけ」との見方を示した。同庁は噴火警戒レベル5(避難)を維持し、警戒を呼び掛けている。
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