図解
※記事などの内容は2020年4月21日掲載時のものです
内閣府は21日、北海道から岩手県の太平洋側にある日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震が発生した場合の震度分布と津波高に関する推計結果を公表した。マグニチュード(M)9を超える「最大クラス」の地震により、北海道で震度7の揺れに見舞われ、北海道や岩手県では高いところで30メートル弱の津波が押し寄せる。
推計は、東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の震源域に隣接する日本海溝北部から千島海溝を対象に、内閣府の下に置かれた有識者検討会が行った。北海道から岩手県の沿岸で調査されてきた過去6000年の津波堆積物の資料を活用。最大クラスの地震として、三陸・日高沖の日本海溝モデル(M9.1)と十勝・根室沖の千島海溝モデル(M9.3)という二つの領域での地震に分けて分析した。
二つのモデルを想定した場合、北海道から岩手県の太平洋側の広い範囲で強い揺れが起きる。北海道厚岸町と浜中町で震度7、北海道釧路市や青森県三沢市、岩手県陸前高田市などで震度6強が見込まれる。
また、地震に伴って、東日本の太平洋沿岸の広い範囲で大きな津波が発生する。このうち、岩手県宮古市では最大29.7メートル、北海道えりも町では27.9メートル。道内では根室市からえりも町付近にかけて10~20メートルを超え、えりも町から西側の苫小牧、函館両市などでも10メートル程度に達する。青森、岩手両県では10~20メートルが予想され、それを上回るところも目立つ。宮古市以北の多くの地域で東日本大震災よりも高い津波となる。
宮城、福島両県では5~10メートルを超える。茨城県では約5メートル、千葉県でも高いところで約5メートルの津波が押し寄せる。
内閣府は推計結果に基づき、地震による被害想定や防災対策を検討。有識者や自治体首長で構成するワーキンググループで議論し、今年度中の報告書取りまとめを目指す。
日本海溝・千島海溝沿い地震で想定される最大沿岸津波高
日本海溝の海底地震津波観測網
津波の高さが3メートル以上になる確率
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