図解
※記事などの内容は2016年5月15日掲載時のものです
熊本地震で阿蘇大橋やトンネルなどが崩落し、鉄道も寸断された熊本県南阿蘇村。本震から1カ月がたった今も、重要な交通インフラは復旧のめどが立たない。村内は分断され、熊本市など県西部から村の中心部に入るには山道を迂回(うかい)しなければならず、生活や観光への影響は深刻だ。
全長約200メートルの阿蘇大橋は、4月16日未明の本震の際に約50万立方メートルの土砂にのまれ、谷底に消えた。再建には早くても数年はかかるとみられ、国土交通省九州地方整備局は安全な場所に橋を架け替えることも視野に、専門家と技術的な検討を進めている。
橋の南側で、村を東西に貫く県道28号熊本高森線も甚大な被害を受けた。全長約2キロの俵山トンネルは内壁が崩落し、大切畑大橋(全長265メートル)など五つの橋も大きく損壊。約10キロにわたって通行止めが続いており、「1年や2年では復旧できない」(県道路保全課)という。
村中心部を東西に抜ける第三セクターの南阿蘇鉄道は、土砂崩れや橋の崩落で全面運休が続く。復旧には30億~50億円の費用が見込まれ、義援金など支援の動きはあるが財源のめどは立っていない。JR豊肥線も土砂流出などで、肥後大津-豊後荻間の長期運休が避けられない見通しだ。
村西部の立野地区から車で20分ほどだった村中心部までの道のりは、阿蘇大橋の崩落で1時間以上かけて山道を迂回するしかなくなった。迂回路のグリーンロード南阿蘇やミルクロードは、冬場は道路凍結で通行止めの恐れがあり、住民から一刻も早い対応を望む声が上がる。
こうした中、注目が集まるのが阿蘇大橋の下流にある阿蘇長陽大橋だ。橋桁や橋脚が残っており、比較的早く再建できる可能性があるという。阿蘇大橋や県道28号とともに、国が復旧工事を代行することも決まった。村の広報担当者は「もし冬までに通れるようになれば本当にありがたい。一日も早い復旧を祈っている」と話した。
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