図解
※記事などの内容は2016年4月18日掲載時のものです
熊本地震の影響で、トヨタ自動車グループを中心に国内工場の稼働を停止する動きが全国に広がっている。熊本県内の部品メーカーが被災し、部品供給が滞っているためだ。東日本大震災の際も部品供給網の寸断で大規模な減産を強いられた自動車業界だが、今回も混乱が長期化すれば、足踏みが続く国内景気を悪化させかねない。
自動車生産の停止に大きく影響しているのは、トヨタ系列のアイシン精機が熊本市に置く子会社2社。「アイシン九州」は一部のドア部品で国内シェアトップ。もう1社はエンジン部品が主力だ。2社とも14日の地震発生直後から操業が止まった。相次ぐ余震で工場内の被害調査も進まず、復旧のめどは立っていない。
このためトヨタは、トヨタ自動車九州の宮田工場(福岡県宮若市)の停止を23日まで延長。愛知県の主力4工場は19~23日に、岩手県と宮城県にあるトヨタ自動車東日本の工場は22、23日に止める。来週以降の対応は20日に判断するが、トヨタ車の生産は少なくとも数万台規模で減る見通しだ。
アイシン子会社のエンジン部品を使う三菱自動車も、水島製作所(岡山県)で軽自動車の生産を18日夜から20日まで止める。ただ、乗用車の生産は継続する。
一方、日産自動車九州(福岡県苅田町)は16日の稼働を中止したが、手に入る部品で造れる車種の生産を続けることで18日に再開した。「東日本大震災の経験を生かし、車種と部品の関係を『見える化』し、部品不足時に柔軟に対応できるようにした効果」(日産自動車広報担当)という。
ただ、国内製造業の中心的な存在である自動車の減産には、市場関係者から「4月の鉱工業生産全体を1%程度押し下げる。停止が長引けば影響はさらに大きくなる」(SMBC日興証券の宮前耕也氏)との予測も出ている。
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