図解
※記事などの内容は2016年4月17日掲載時のものです
熊本地震による避難生活は、長期化に伴い高齢者らの誤嚥(ごえん)性肺炎やエコノミークラス症候群などのリスクが高まる。衛生状態や運動への配慮が必要となる。
東日本大震災の発生から初期の段階に、避難生活の疲労やストレスなどで体調を悪化させ死亡した震災関連死は、9割が65歳以上の高齢者だったとされる。特に、飲み込む力が低下し気管などに飲食物が流れ、細菌が肺に混入して引き起こされる誤嚥性肺炎による死亡例が多かった。
防止には、口腔(こうくう)内での細菌発生を避ける必要がある。厚生労働省は避難生活の健康管理のガイドラインで、できるだけ歯磨きをし、難しい場合は少量の水でもできるうがいをするよう求めている。食事時間を決め、飲食回数を減らすことも予防対策となる。
熊本地震では、定員を超える人が詰め掛け1人当たりのスペースが狭くなっている避難所もあり、車の中で夜を過ごした人も少なくない。こうした状況下では、長時間同じ姿勢でいることでできる血栓が肺の血管を詰まらせるエコノミー症候群のリスクが高まる。胸の痛みや脚のむくみがある場合、救護所の医師らに相談すべきだ。
定期的に歩くなど体を動かし、十分な水分を取ることが予防になる。アルコールやコーヒーは水分を体外に出す働きがあり、避けた方がいい。ゆったりとした服を着るのも有効とされる。
避難長期化に伴い、「心のケア」も重要となる。日本心理臨床学会は、余力のあるうちに積極的に休息と睡眠を取るようにし、気の合う人と雑談することなどを呼び掛ける。寝付けないときにアルコールを取ることは、眠りが浅くなり、依存症につながる危険があり避けた方がいいとしている。
新着
会員限定