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【図解・社会】東日本大震災9年・3.11伝承ロードの主な施設(2020年3月)

3.11伝承ロードの主な施設

震災施設結ぶ伝承ロード=風化防止へ、教訓未来につなぐ

※記事などの内容は2020年3月10日掲載時のものです

 東日本大震災で被災した青森、岩手、宮城、福島各県の産官学が連携し、震災の教訓を伝える取り組みを進めている。「3.11伝承ロード」と名付け、震災遺構や津波の襲来を記した石碑などを結び、教訓を国内外に発信。震災から9年たち風化が懸念される中、被災地に多くの人に訪れてもらい、防災意識の向上と地域振興を図りたい考えだ。

 ◇224件登録

 伝承ロードは、甚大な被害を受けた太平洋沿岸を中心に、地方自治体や民間団体が推薦した遺構、石碑、慰霊碑などを震災伝承施設として登録。津波と建物を組み合わせた標章を使った案内板を設置したり、主な施設を記載した地図を作成したりし、被災地を訪れる人が効果的に震災の教訓を学べる仕組みをつくろうという試みだ。
 昨夏には一般財団法人「3.11伝承ロード推進機構」(仙台市)が発足した。代表理事の今村文彦東北大災害科学国際研究所所長は「東日本大震災は広域、複合的な災害で、被害や復興状況が地域で異なり、津波の言い伝えなどの防災文化もある。(被災地を巡れば)震災への理解が深まる。機構はガイド役になりたい」と意義を説明する。
 登録された震災施設は1月末現在で224件に上り、内訳は青森4件、岩手80件、宮城111件、福島29件。説明者を配置したり、津波の映像を上映したりして震災を詳しく学べる施設もある。昨年9月、岩手県陸前高田市に開館した東日本大震災津波伝承館もその一つだ。県が運営し、被災した消防車の展示や津波映像などで被害状況を伝え、過去に三陸地域を襲った津波の歴史も展示解説。英語や中国語を話せるスタッフら10人の説明員が、常時案内できるようにした。
 来館者は開館から4カ月で10万人を突破。熊谷正則副館長は「世界でも通用する津波の学習拠点を目指している。伝承ロードの取り組みとも連携し外部に発信していきたい」と話す。

 ◇避難の教訓継承を

 震災遺構では、津波で1、2階部分が破壊された「たろう観光ホテル」(岩手県宮古市)や旧石巻市立門脇小学校(宮城県石巻市)などが登録され、福島県浪江町が請戸小学校の申請を検討している。同小は昨年、町民や有識者から成る震災遺構検討委員会が保存を提言し、2021年度の公開を目指し整備が進められる。
 同小は津波に襲われたが、校舎にいた児童82人は近くの山に逃げ無事だった。当時6年生だった大学生の横山和佳奈さん(21)は遺構検討委に加わり、保存を訴えた。「校舎を壊すと言われたら(反対の)署名を集めようと思っていた。児童全員が助かった話を語り継ぎたかった」と話す。
 請戸地区は津波で壊滅的な被害を受け、災害危険区域に指定された。住宅の建築制限により、住民が戻れない。同小は津波の恐ろしさを物語るだけではなく、住民にとって大切な思い出の場所になっている。横山さんは「請戸に唯一残ったのが小学校。遺構として公開されたら、住んでいた人がまた集まって、明るい声が響く場所になればいい」と願っている。

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