図解
※記事などの内容は2020年3月4日掲載時のものです
東京電力福島第1原発事故で唯一全町避難が続く福島県双葉町の避難指示の一部が4日午前0時に解除される。原発事故後、双葉町での解除は初めて。放射線量が比較的高い帰還困難区域としても初の解除となる。事故から9年がたち、新たな町づくりに向けた一歩を踏み出す。
解除されるのは、JR常磐線双葉駅周辺の帰還困難区域と、町面積の4%に相当する町北東部の避難指示解除準備区域。ただ、産業団地への企業誘致や住宅整備などを進めるための「先行解除」としており、居住は想定していない。
帰還困難区域が設定された7市町村のうち、双葉町に続き、大熊町が5日午前0時に、富岡町が10日午前6時にそれぞれの駅周辺が解除となる。
常磐線は14日に全線で運転が再開され、町へのアクセス向上が期待される。解除区域では飲食店が入る産業交流センターや震災・原発事故の伝承施設の開業が予定されており、伊沢史朗町長は「町民をはじめ多くの人に来てもらい、今の復興状況に関心をもってほしい」と語る。
双葉町では原発事故で全町民約7100人が県内外での避難生活を強いられた。町などが昨年秋に行った住民意向調査では、「戻りたいと考えている」との回答は10.8%にとどまり、「戻らないと決めている」が61.5%、「まだ判断がつかない」が25.6%だった。
将来的な住民の帰還がどこまで進むか見通せない中、町は2022年春の特定復興再生拠点の解除を目指し、双葉駅周辺に役場や住宅、商業施設などを集約するコンパクトな町づくりを掲げる。伊沢町長は「まずは雇用を創出し、戻りたいと思ってもらえるような環境づくりに取り組む」と話している。
避難指示区域の変化
避難指示が解除された区域
双葉町の避難指示解除区域
大熊町の避難指示解除区域
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