図解
※記事などの内容は2019年3月23日掲載時のものです
東日本大震災で被災し運休が続いていたJR山田線の宮古-釜石間が23日、第三セクターの三陸鉄道(本社岩手県宮古市)に移管され、8年ぶりに運行を再開した。移管区間の南北を走る2路線と合わせ、新たに「リアス線」として開業。岩手県沿岸部が再び163キロの鉄路で一本につながった。
23日は両駅間で記念列車4本を走らせ、公募で選ばれた280人が乗り込む。午前11時40分ごろ、列車が釜石駅を出発すると、ホームや沿線で多くの住民らが大漁旗を振るなどして開通を祝った。営業運転は24日から。
同社の中村一郎社長は「ようやくこの日を迎えられた。1984年の開業、震災後の再開に続き、リアス線として第三のスタートになる」と述べた。出発式に参加した釜石商工高校2年の吉田拓人さん(17)は「電車は速くて遅れないので(今のバス通学より)便利になる。早く乗るのが楽しみ」と笑顔を見せた。大槌町の上山智也子さん(55)は「新しい駅が出来て良かった」と話した。
移管区間は津波でレールが8.5キロにわたって浸水し、駅舎7カ所と橋6カ所が損壊した。2014年12月、JR東日本と地元自治体が移管で合意し、復旧工事は昨年12月までに完了。災害公営住宅の完成などで人口が増加している宮古市内には、2駅を新設した。
三陸鉄道は、開業した84年度の乗客数が268万人に上ったが、沿線人口の減少や震災などの影響で16年度は51万人まで落ち込んだ。一方、北リアス線が地震発生のわずか5日後、一部区間を運賃無料で再開させるなど、復興の象徴的存在となっている。
釜石市の鵜住居駅では23日、記念列車の到着に合わせ伝統芸能の虎舞が披露されるほか、沿線で24日にかけ、開業を祝う記念行事が行われる。
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