図解
※記事などの内容は2018年2月27日掲載時のものです
放射性セシウムを吸着・固定するのは鉱物の雲母だ。東和地区を含む阿武隈山系周辺に広く存在する花こう岩が風化してできた土の粘土の中に多く含まれている。
雲母はアルミニウムやケイ素などで作られる薄いシートが何枚も重なってできており、カリウムはシート同士を貼り合わせる接着剤の役目をしている。風化作用でシートの端がめくれてカリウムが外れると、隙間にカリウムと似た性質と大きさを持つ放射性セシウムが入り、さらにカリウムがその周りを囲むとギョーザの皮に包まれたあんのように放射性セシウムが密閉される。原発事故後の福島では、1年程度で放射性セシウムが土中に7~8割固定されたとの調査結果がある。
農業・食品産業技術総合研究機構の山口紀子上級研究員は「放射性セシウムはいったん固定されると土から出られなくなるので、作物の根に吸われない」。放射能と環境について長年研究している塚田祥文福島大教授は福島のコメや野菜などから放射性セシウムがほとんど検出されないのは「土の力が大きく貢献している」と話している。
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