図解
※記事などの内容は2020年3月9日掲載時のものです
東京電力福島第1原発事故の発生から11日で9年を迎える。この1年、プールからの核燃料取り出しが3号機で進んだ一方、1、2号機では開始時期が先送りされた。放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法も決まらず、保管用のタンクが増え続けている。
2019年4月に始まった3号機の核燃料取り出し作業はほぼ順調に進み、使用済み燃料プールにあった566体の核燃料のうち、91体が別の建屋にある共用プールに移送された。
1、2号機のプールにも核燃料は残っているが、プールの上に位置する原子炉建屋最上階のがれきや、高い放射線量が妨げとなっている。
原発周辺でも住民の帰還が始まったことから、政府は工程表を見直し、作業で放射性物質が飛散しないよう1号機に大型カバーの設置を決めた。2号機も建屋上部を解体せず、隣に設けた作業スペースから取り出す方針だ。ただ、燃料取り出し開始時期はさらに先送りされ、1号機は27~28年度、2号機は24~26年度の見通しとなった。
1、2号機の脇に立つ高さ120メートルの排気筒は約88メートルにまで解体された。倒壊を防ぐため60メートルまで撤去する計画で、東電は5月の作業完了を目指している。
一方、原発から出る汚染水の問題は深刻さを増している。同原発では、1日平均170トンの汚染水が発生。浄化装置で放射性物質を減らした処理水の総量は約118万トンに上り、敷地内の保管用タンクは1000基を超えた。
東電は137万トン分のタンクを確保する計画だが、22年夏には満杯になるとみている。政府は専門家らでつくる小委員会が「現実的」とした海洋か大気への放出を軸に処分方法を決めるが、除去しきれないトリチウムを含んだままの放出には反対も根強い。
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