図解
※記事などの内容は2020年2月27日掲載時のものです
レッサーパンダは同一種で2亜種ではなく、2種に分類すべきだと、中国科学院動物研究所の研究チームが26日付の米科学誌サイエンス・アドバンシーズに発表した。分類方法が近年議論されてきたが、ネパールや中国、ミャンマーに生息する野生の65匹からDNAを採取して大規模な全遺伝情報(ゲノム)解析を行った結果、遺伝的な違いが亜種より大きいと指摘している。
この2種は、中国の四川省や雲南省などに生息する「シセンレッサーパンダ」(学名アイルルス・ステュアニ)とヒマラヤ山脈沿いのネパールなどに生息する「ネパールレッサーパンダ(ニシレッサーパンダ)」(同アイルルス・フルゲンス)。外見では、シセンは顔の毛が赤っぽく、尾のしま模様がはっきりしているが、ネパールは顔の毛が白っぽく、尾のしま模様がはっきりしない特徴がある。
研究チームは最新の技術で細胞核のDNA全体のゲノムを解析したほか、雄のY染色体のDNA塩基配列の違いや、細胞小器官ミトコンドリアのDNAも解析。これら2種は祖先の段階から高地に適応しており、22万年前ごろに2種に分かれたと推定した。
野生のレッサーパンダは絶滅の危機にあり、研究チームは種の違いや遺伝的な多様性を踏まえて生息環境を守るよう提言している。
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