図解
※記事などの内容は2019年1月26日掲載時のものです
越冬のためシベリアから日本に飛来する絶滅危惧種ナベヅルの成鳥が今季、海を越えて四国に直接飛来していたことが山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)の調査で分かった。この1羽はその後、世界最大の越冬地である出水平野(鹿児島県出水市)に移動していた。同研究所はナベヅルが好条件の土地を求めて四国に飛来した可能性もあるとして、越冬地分散化につなげたい考えだ。
ナベヅルの推定生息数は約1万羽で、8~9割が出水平野で越冬する。同平野では過去に高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されており、越冬地の分散化が急務となっている。
同研究所によると、確認されたナベヅルは中国の黒竜江省大慶市で2012年4月に足輪を付けられた性別不明の成鳥。今季は昨年11月5日に高知県四万十市で初めて確認され、1週間後には北東に約200キロ離れた徳島県阿南市でも見つかった。
その後四万十市に戻り、11月25日に出水平野で見つかった。12月3日には同平野に家族とみられる3羽の群れでいた姿も確認された。
四国では高知県西部の四万十川流域などで不定期に飛来する例はあったが、15年からは最大100羽以上の越冬が続いている。しかし、足輪がなかったため、ユーラシア大陸からの直接飛来を裏付ける証拠がなかった。
四国への直接飛来について、同研究所の尾崎清明副所長(鳥類生態学)は「より条件の良い越冬地を探して移動していることが分かった。ねぐらや餌を取る場所について、出水平野との相違点をもっと詳細に分析することで四国が新たな越冬地になることも期待できる」と話している。
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