図解
※記事などの内容は2018年9月22日掲載時のものです
仙台、秋田、盛岡各市の3動物園が25日、アフリカゾウの繁殖へ向け、国内初となる雄・雌のペア組み替えに乗り出す。ワシントン条約で輸入が厳しく制限され、国内でも頭数が激減する中、繁殖に向けた新手法を探る。
日本動物園水族館協会(東京都台東区)によると、国内のアフリカゾウは1986年に最多の80頭となったが、2014年以降は繁殖に成功しておらず、17年末には34頭まで減少。将来的には飼育数がゼロとなる懸念もある。
連携するのは、仙台市の八木山動物公園、秋田市の大森山動物園、盛岡市動物公園の3園。3園には繁殖に適した16~29歳のアフリカゾウが雄雌1頭ずついるが、八木山では繁殖行動は見られず、他の2園では交尾は確認できたものの妊娠に至っていない。同じペアが長年一緒に飼育されて「マンネリ」状態に陥り、発情に至っていない可能性もあるという。
3園で雌を交換し、ペアを新たな環境に置いて繁殖行動を促すことにした。隣県で移動距離が短く、ゾウへのストレスも少ないという。動物園同士によるゾウの貸し借りは従来もあったが、ペア組み替えには、動物園の「人気者」が不在になるのを防ぐメリットもある。
24日は、大森山の「花子」(29歳)を移動のため専用の箱に入れる。成功すれば、翌25日午前7時ごろ大型トラックで出発し、八木山には約4時間後に到着する。2週間後、今度は八木山の「リリー」(同)を大森山に運ぶ予定。2園は、組み替えたペアが繁殖行動を取るかなどを3年ほどかけ慎重に見極めた上で、盛岡の「マオ」(16歳)を加えた組み合わせも検討する。
大森山の三浦匡哉園長補佐(46)は「仙台への安全な輸送に向け、しっかり準備を進める」と話す。八木山の金集隆幸園長(53)は「花子には早く慣れてもらい、ベン(雄、29歳)と仲良くなれる環境をつくって繁殖につなげたい」と意気込む。
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