図解
※記事などの内容は2019年5月20日掲載時のものです
極寒の冥王星の地下に「海」がなぜ存在できるのか-。北海道大などの研究チームは、地表を覆う氷と地下にある海の間にメタンハイドレートの層があれば、水が凍らずに存在できることを数値シミュレーションで明らかにした。論文は21日、英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス電子版に掲載される。
地下海は土星や木星の衛星にもあるが、極寒の冥王星でも液体の水が維持できる仕組みが解明されると、地球外生命の可能性がより広がることになるという。
2015年7月に最接近した米探査機ニューホライズンズによる観測から、冥王星は表面を覆う氷の地殻、その下に地下海、中心に岩石核があると考えられている。岩石核に含まれる放射性物質が熱源になるが、太陽から遠く離れた冥王星の表面温度は零下220度と低く、地下海が凍らない理由は分かっていなかった。
北海道大の鎌田俊一准教授らは、低温・高圧環境でメタンが水と結合して結晶化するメタンハイドレートが氷に比べ、熱が非常に伝わりにくいことに着目。岩石核内の有機物から供給されたメタンが氷の地殻と地下海の境界にメタンハイドレート層をつくると仮定し、冥王星誕生から現在までの約46億年間、内部の温度変化をシミュレーション計算した。
その結果、ハイドレート層がないと10億年近く前に地下海は凍結するが、存在する場合は「断熱材」として働き、ほとんど凍結しないことが判明した。表層の氷はすぐに冷え切って固くなり、観測されたように不均一な厚さになることも分かった。
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