図解
※記事などの内容は2016年12月20日掲載時のものです
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日午後8時、地球を取り巻く放射線帯の謎を解明する科学衛星を搭載した固体燃料ロケット「イプシロン」2号機を鹿児島県・内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。衛星は約13分後に予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。衛星は「あらせ」と命名された。
イプシロンの打ち上げは2013年9月の1号機以来、約3年ぶり。2号機は第2段エンジンを大型化するなど、打ち上げ能力の向上を図った。
地球をドーナツ状に取り巻く放射線帯には、太陽から吹き付ける高速の粒子(太陽風)より、はるかに大きなエネルギーの電子が大量に存在しているが、どこからエネルギーを得ているかなど詳しい仕組みは分かっていない。
あらせは重さ約350キロ。電子を検出するセンサーなど8種類の観測機器を搭載する。高度300~3万3000キロの楕円(だえん)軌道を周回し、放射線帯の電子やイオン、磁場などを直接観測。高エネルギー電子が生まれる過程の解明を目指す。
名称は、地球周辺の荒々しい高エネルギー粒子を「宇宙の荒瀬」に見立てたほか、発射場がある肝付町を流れる荒瀬川にちなんだ。JAXAの奥村直樹理事長は記者会見で「衛星を正常に分離したことを確認した。大変ほっとしている」と述べた。
今年2月に打ち上げられ、4月に運用を断念したX線天文衛星「ひとみ」の失敗後、科学衛星の打ち上げは初めて。JAXAは他の衛星の開発経験者による特別点検を実施するなど、再発防止策を実施した。
新着
会員限定