図解
※記事などの内容は2019年9月30日掲載時のものです
政府は、消費税率10%への引き上げによる増収分のうち、教育の無償化などに1.7兆円を充てる。2017年の衆院選で安倍晋三首相が掲げた公約に沿った施策だが、その分、国の借金抑制に回す分は減る。使途が際限なく広がることへの懸念もくすぶっている。
教育無償化は、3~5歳児を抱える全世帯と0~2歳児を持つ住民税非課税世帯を対象に認可保育所や幼稚園の費用を10月から原則無料とする。大学など高等教育に関しては、来年4月から年収約380万円未満世帯の学生に対し授業料や入学金などを支援する。
消費税増税の増収分をめぐっては、12年に当時の野田佳彦内閣の下で民主、自民、公明の3党で税率を10%に引き上げた際の使途について合意。社会保障の充実に回す1.1兆円以外は国の新たな借金の抑制に充てると定めていた。
安倍政権が使途を広げたことで、政策経費を税収でどれだけ賄えるかを示す基礎的財政収支の黒字化目標は20年度から25年度に先送りされ、財政再建が遠のいた。当時民主党で3党合意を主導した藤井裕久元財務相は「今後、教育以外にもさまざまな分野に使途拡大が広がりかねない」と批判する。
さらに、食料品などの税率を8%に据え置く軽減税率を導入することで、増収額は1.1兆円目減りする。政府は所得税やたばこ税の増税、企業の納税額を適切に把握できる「インボイス制度」導入による増収で補うと説明する。ただ、インボイス制度の導入は23年10月で、その間の財源は穴埋めできていない。
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