図解
※記事などの内容は2019年9月29日掲載時のものです
政府は10月1日に消費税率を8%から10%に引き上げる。1989年の消費税導入以降、増税は97年、2014年に続き3度目で、5年半ぶり。高齢化で膨らむ社会保障費の財源を確保し、財政再建を進める狙いがあるが、国民の負担増は消費の減退を招きかねない。政府は軽減税率やキャッシュレス決済によるポイント還元などの対策で、景気の落ち込みを防ぎたい考えだ。
10%への引き上げは当初15年10月実施予定だったが、安倍晋三内閣は2度にわたり延期。4年遅れの増税となる。政府は、8%への増税後に起きた消費の落ち込みを最小限に抑えるため大規模な対策を並べた。この結果、大和総研によると、増税に伴う家計負担額の合計は年間約2兆円程度で、前回増税時の約8兆円を大きく下回る。
中小店で買い物をする際にクレジットカードや電子マネーなどで決済すると、最大5%分のポイントが付与される。利用の仕方によっては増税前より支払額が減るケースもある。
ただ、この制度は来年6月末まで。他にも、低所得者や子育て世帯を対象に購入額以上の金額分の買い物ができる「プレミアム付き商品券」、住宅ローン減税期間の延長、自動車購入時の税負担軽減などの対策はいずれも来年中に期限を迎える。それぞれの対策が終了するたびに、需要の下支え効果が薄れ、「断続的に消費を抑制する」(大和総研)との指摘が出ている。
飲食料品や宅配新聞の税率を8%に据え置く軽減税率制度も始まる。消費者には家計の負担増を抑えられるメリットがある一方、対象商品の線引きや価格表示などの分かりづらさに懸念が残る。特に、外食は適用対象外で、イートインコーナーのあるコンビニエンスストアや持ち帰りサービスのある飲食店では、同じ商品でも「店内飲食(10%)」と「持ち帰り(8%)」で税率が異なる。
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