図解
※記事などの内容は2018年11月23日掲載時のものです
小売店などでの商品の「税抜き」価格表示をめぐり、経済界と財務省の攻防が激しくなっている。現在特例とされている店頭の「税抜き」表示の恒久化を目指す小売業界などに対し、財務省はあくまでも特例扱いとして、「税込み」表示を徹底させたい考え。両者の隔たりは大きく、年末の与党税制調査会での議論の行方は見通せない。
政府は2004年、店頭表示について「税込み」の総額表示を義務化。しかし、消費税8%への引き上げを控えた13年、小売店の値札張り替え負担を考慮するとし、特例として「税抜き」表示を認めた。現在は「10000円+税」「10000円(税抜き)」などの表示が可能になっているが、特例措置は21年3月に期限を迎える。
小売業界などは、税込み表示について「値頃感のある価格設定が制約される」(日本チェーンストア協会)と主張し、税抜き表示の必要性を強調。また来年10月に導入される軽減税率により、店内飲食可能な店などでは同じ商品でも税率が異なる場合が出る。税込み表示義務に戻ると「値段を二つ書かなければならず、店側の負担が大きい」(日本商工会議所)との声が出ている。
一方、財務省は「消費者目線」を盾に税込み表示の原則を貫く考え。財務省幹部は「会計の際に支払う金額は同じ。業界の主張する『値頃感』は、消費者をごまかしていることの裏返しだ」と税抜き表示の問題点を指摘し、21年3月に予定通り特例を終了させる方針だ。
自民党税制調査会は21日の会合で、経済・業界団体から税抜き表示を恒久化するよう要望を受けた。税調幹部のベテラン議員は「相当難しく、時間のかかる問題だ」と述べ、決着は来年以降に持ち越される可能性も示唆した。
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