図解
※記事などの内容は2018年11月9日掲載時のものです
来年10月の消費税率10%への引き上げの際、飲食料品など生活必需品の税率を8%に据え置く「軽減税率」が導入される。小売店や消費者などから軽減税率の適用範囲をめぐる問い合わせが相次いでいるため、国税庁はホームページ上に掲載してきた個別の適用事例集を改訂した。適用するかどうかの判断基準に加え、「みりんは対象外(消費税率10%)だが、みりん風調味料は対象(8%)」といった具体例を示している。
軽減税率は、酒類や医薬品類を除く飲食料品や週2回以上発行する新聞に適用する。飲食料品でも、店内で食べる場合などは外食と位置付け、適用対象外となる。「料理酒は酒類か」「保冷用の氷は飲食料品か」「屋台は外食に当たるか」など判断がつきにくいケースも多い。
酒税法上、アルコール分1%以上の飲料が酒類となる。みりんや料理酒は酒類に該当するため、軽減税率が適用されず、消費税率は10%。一方、みりん風調味料やノンアルコールビール、甘酒は適用され、8%に据え置かれる。
飲食料品は「人の飲食用に供されるもの」で、保冷用の氷やドライアイス、ペットフード、家畜用飼料、栽培用種子は該当しないが、かき氷用の氷や食用のかぼちゃの種は対象となる。
外食の線引きは複雑だ。テーブルやいす、カウンターなど「飲食設備のある場所で飲食を提供している」場合、外食として扱われる。コンビニ店内の飲食スペースや店外に設置したテーブルで食べると外食に当たる。外食だと税率は10%になるため、店員は顧客に「持ち帰るか、その場で食べるか」を確認しなければならない。
屋台のおでん屋などでテーブルやいすがない場合でも、カウンターがあり、「その場での飲食が前提になっていれば外食だ」(財務省主税局)という。半面、カウンターもなく、持ち帰りを前提とするケースは軽減税率の対象となる。
国税庁は軽減税率の線引きについて「基準が変わることはない」として、今後も必要に応じ個別事例集を改訂する予定。これに対し、経済界は「結果的に軽減税率が複雑だという印象を強めている」(日本商工会議所幹部)と導入時の混乱を危惧している。
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