図解
※記事などの内容は2018年10月15日掲載時のものです
安倍晋三首相が消費税率10%への引き上げを決めたことで、今後の焦点は増税に伴う消費の反動減対策に移る。金額の大きい住宅や自動車を購入する際の減税措置が柱で、来年度税制改正の目玉となりそうだ。
2014年4月に税率を5%から8%に引き上げた際には、駆け込み需要の反動もあって耐久消費財を中心に消費が大きく落ち込み、景気が低迷。14年度の新設住宅着工戸数は11%、軽自動車を含む乗用車販売も8%、それぞれ減った。
住宅については、住宅ローン借入残高の1%分が10年間にわたって税額控除される現行制度について、控除期間の延長や減税幅の拡大などの案が浮上している。住宅購入時に最大50万円支給される「すまい給付金」の拡充議論も進む見通しだ。
自動車業界は「日本ではユーザーの負担が大きい」(豊田章男日本自動車工業会会長)として、減税を強く要望。来年10月に廃止予定の自動車取得税の代わりに導入する新税「環境性能割」の課税を1年間猶予する案が与党内に出ている。
政府はこのほか、中小規模の小売店で現金を使わずにクレジットカードなどで代金を支払う顧客に、2%分のポイントを還元する制度の創設も検討している。
ただ財務省内には、住宅ローン減税の拡充には「購入段階の支援ではないので、消費効果があるのか」(幹部)との声がある。自動車についても「消費税増税前に駆け込み需要が起きれば、税制優遇しても効果は限定的」(別の幹部)とみている。
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