図解
※記事などの内容は2016年12月8日掲載時のものです
今回の配偶者控除の見直しは、妻の年収制限を103万円から150万円まで引き上げ、パートで働く主婦の就労拡大を後押しする狙いがある。しかし、働きたくても子育てや介護で就労できない女性もいる。安倍政権が掲げる「女性活躍」を促す税制改正だが、効果は限定的と言えそうだ。
配偶者控除は専業主婦が多かった1961年に導入された。妻が働く場合、年収が103万円以下なら夫の年収から38万円が差し引かれ、税負担が軽くなる。このため「103万円を超えないよう働きたい」と労働時間を調整する主婦も多い。女性の就労を妨げる「103万円の壁」として、見直しを求める声は長らくあった。
見直し後は、時給1000円で1日6時間・週5日勤務すると年収が144万円になることを念頭に、妻の年収が150万円以下までは満額38万円の控除を適用。減額となるが、150万円を超えても201万円までは控除を受けられ、パート主婦の9割以上をカバーする仕組みとなった。
夫だけが働く年収1000万円の世帯などには恩恵が及ぶ。一方で、夫婦共に年収201万円超の共働き世帯は取り残される。フルタイムで働く女性の不公平感も解消されず、新たに「150万円の壁」ができるとの見方もある。
埼玉県蕨市の主婦(35)は「正社員で働きたいが、子育てや地域活動で手いっぱい」と嘆く。女性の就労拡大には、税制面だけでなく保育や介護サービスの充実など多様な支援が求められる。
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