図解
※記事などの内容は2019年12月20日掲載時のものです
政府は20日、一般会計総額が過去最大の102兆6580億円に上る2020年度予算案を閣議決定した。19年度当初予算比で1.2%(1兆2009億円)増え、2年連続で100兆円の大台を突破した。高齢化に伴う医療費増に幼児教育・保育の無償化などが加わり社会保障費が膨張。歳入面では、国債依存度が引き続き3割を超え、令和初の予算案も借金頼みの構図から脱し切れていない。
麻生太郎財務相は20日の閣議後会見で「経済再生と財政健全化の両立を目指す予算」と強調。総額が8年連続で最大を更新したことに「経済が伸びなければ、いろいろな目的を達成できない」と述べ、財政健全化のためにも成長を後押しする必要性を訴えた。政府は年明けの通常国会に予算案を提出し、今年度末までの成立を目指す。
予算規模を押し上げた主な要因は、一般会計の3分の1を占める社会保障費の伸びだ。概算要求時に高齢化による自然増5300億円程度が見込まれたが、最終的に4111億円となった。医療サービスの公定価格である診療報酬改定に合わせた薬価の引き下げ(約1100億円)などで圧縮を図った。
一方、今年10月の消費税増税に伴い導入された幼児教育・保育の無償化(3410億円)、来年4月に始まる高等教育の入学金・授業料への支援措置(4882億円)などがかさみ、社会保障費の総額は5.1%増で過去最大の35兆8608億円に上った。
防衛費も、宇宙やサイバー、電磁波など新領域での防衛能力を強化した結果、1.1%増の5兆3133億円と最高額を更新した。
消費税増税後の景気対策としては「臨時・特別の措置」を19年度に続いて設け、1兆7788億円を計上。キャッシュレス決済へのポイント還元事業に2703億円、東京五輪後の来年9月に始まるマイナンバーカード保有者への買い物ポイント付与に2478億円を充当し、消費の冷え込みを抑える。防災・減災対策には1兆1432億円を使う。
財源となる税収は、消費税増税による増収分(約2.4兆円)で過去最大の63兆5130億円を見込む。新規国債発行額は微減となり、当初予算段階では10年連続でマイナスだった。その分、税外収入が6兆5888億円と増加。そのうち外国為替資金特別会計の剰余金や、本来は借金の返済に充てなければならない18年度予算の使い残しも活用し、財源を捻出した。
政府は20日の閣議で、20年度税制改正大綱も決定した。企業の内部留保をベンチャー投資につなげたり、次世代通信規格「5G」の普及を加速させたりする税制優遇が柱。改正内容を通年で適用した場合、国と地方を合わせた税収は93億円増える見通しだ。
2020年度の予算案構成
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