図解
※記事などの内容は2019年3月27日掲載時のものです
2019年度予算が27日、成立した。経済政策の次の焦点は、海外経済が不透明感を強める中でいかに景気の腰折れを回避するかに移る。政府は10月の消費税増税に備え、既に19年度予算で2兆円規模の景気対策を計上。財政的に追加対策を打ち出す余力が限られる中、景気減速が鮮明となる場合に消費増税を強行すれば個人消費が冷え込みかねない。政府の経済政策運営は正念場を迎える。
麻生太郎財務相は予算成立後に国会内で記者会見し、「消費税率引き上げに対応して需要平準化に取り組む」と景気悪化の防止に全力を挙げる意向を強調した。
景気対策では防災のための公共事業費1兆3000億円に加え、キャッシュレス決済のポイント還元と低所得者向け「プレミアム付き商品券」に計4500億円を計上。消費増税と同時に実施する幼児教育無償化など、ほかの対策と合わせれば増税負担分を上回る。安倍晋三首相は国会審議で「十二分な対策を講じ、景気回復を確かなものとする」と理解を求めてきた。
ただ、予算編成後に明らかになった経済指標を見ると、海外経済の落ち込みが当初想定したよりも深刻である懸念が出てきた。例えば、18年10~12月期の国内総生産(GDP)では、日本経済をけん引してきた外需の寄与度が3四半期連続でマイナスを記録。内閣府が3月の月例経済報告で景気全体の判断を3年ぶりに下方修正し、景気後退入りは現実味を帯びている。
19年度予算は消費税対策に加えて高齢化に伴う社会保障費の増加が響き、総額は101兆円超と当初段階で初めて100兆円を突破した。足りない財源を国債の増発で賄った結果、国の債務残高は14年分の税収に相当する897兆円と過去最高に膨らんだ。
統一地方選や参院選を控える中、景気動向次第で与党から早期の対策を求める声が強まる可能性もある。財政規律を維持したい財務省は「直ちに対応が必要なほど景気は悪化していない」(主計局幹部)と歳出圧力をけん制する。
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