図解
※記事などの内容は2019年8月30日掲載時のものです
財務省は30日、各省庁からの2020年度予算概算要求の提出を事実上締め切った。高齢化に伴う社会保障費の増加に加え、国債の償還や利払いなどの国債費が膨らみ、要求額の合計は過去最高だった19年度の102兆7658億円を上回り、105兆円前後になったとみられる。10月の消費税増税後の需要反動減対策などを含め歳出圧力が高まる中、財政健全化とバランスの取れた予算案策定が求められる。
要求総額が100兆円を超えるのは6年連続。20年度予算では、消費税率10%への引き上げ後を見据えた景気対策を概算要求とは別に検討するため、当初予算は19年度に続いて100兆円台になる見通しだ。
厚生労働省は19年度当初予算比2.1%増の32兆6234億円と過去最大額を要求した。高齢化に伴う社会保障費の自然増が5300億円、年金制度を維持するための費用として約12兆円、医療保険制度の運営に約12兆円を見込む。膨張する社会保障費をどこまで抑えられるかが予算編成の焦点となる。
財務省は、国債費を6.2%増の24兆9746億円と見積もった。国債発行残高が膨れ上がっていることが要因だ。利払い費の算定根拠となる想定金利は金利の急上昇に備え、10年物国債金利を1.2%と想定した。
防衛省の要求額も過去最大で、1.2%増の5兆3223億円。海上自衛隊の護衛艦「いずも」の空母化のための改修費約31億円などを計上した。
20年の東京五輪・パラリンピックに関する項目も目立つ。法務省は出入国管理体制の強化やテロ対策に211億円を計上。警察庁は、各道府県警からの応援部隊の旅費や検問用資機材の充実などで300億円を見込んだ。
財務省は各省庁からの要求額を集計して、近く公表する。
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