図解
※記事などの内容は2019年6月15日掲載時のものです
経営再建途上のJR北海道が地元自治体と国の財政負担を前提に存続を目指す赤字8区間をめぐり、沿線市町村がこのほど負担に合意した。ただ、人口減少が著しい寒冷地で鉄道利用を促すのは至難の業。JR北が策定した8区間の事業計画の実効性は不透明で、慣れ親しんだ「住民の足」が守られるかは見通せない。
JR北をめぐっては、国が昨年7月、2019、20年度の2年間で計400億円規模の経営支援をすると決定。8区間の存続について道は昨年末、19、20年度に限り自治体も臨時に財政負担する方針を決め、40以上の沿線市町村に協力を求めた。
沿線市町村は今年6月6日までに相次ぎ同意。負担額は道が年1億4000万円、市町村が6000万円で、個別の額は人口や財政力を基に今後詰める。自治体側は今回の負担金を赤字の穴埋めではなく、利用客増加につながる取り組みに充てるよう要請。鈴木直道知事は14日の記者会見で「JRや国だけでは持続的な鉄道網の確立は困難だ」と述べ、路線維持に向けて市町村と協力する姿勢を打ち出した。
沿線市町村の受け止めはさまざまだ。苫小牧市の岩倉博文市長は「あくまで2年間の措置」との立場。旭川市の担当者は「大事なのは広大な寒冷地の鉄道をどのようなスキームで存続させていくかだ」と指摘する。
国土交通省はJR北に、経営計画の策定や自治体と協力した利用促進策を要請。これを受けJR北が4月に公表した8区間の事業計画には(1)観光列車の運行(2)沿線ツアーの企画(3)鉄道写真コンテストの開催-などが盛り込まれた。
ただ、これらの事業で利用がどれほど増えるかは分からず、先行きは読めない。石井啓一国交相は21年度以降の国の支援について「経営改善に資する成果を挙げることが前提」としているが、結果によっては自治体負担がさらに増える恐れもある。
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