図解
※記事などの内容は2020年1月29日掲載時のものです
日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が発効して2月1日で1年になる。相互に関税を引き下げた結果、輸出では自動車や和牛、輸入ではワインが伸びた。国内自動車メーカーなどが恩恵を受け、消費者もより手頃な価格で欧州産品を楽しめるようになった。一方、欧州産との競争激化に直面し、対応に追われる業界もある。
日欧はEPAで、相互に貿易品目の9割超を関税撤廃の対象とし、知的財産権の保護や電子商取引など幅広い分野のルールも整備した。発効により、世界貿易額の4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生。政府は日本の実質GDP(国内総生産)を約5兆円(約1%)押し上げる効果があると試算している。
輸出では乗用車への10%の関税が段階的に引き下げられ、発効8年目に撤廃される。牛肉や日本酒の関税は即時撤廃された。財務省の貿易統計によると、2019年2~11月の輸出額は、自動車が前年同期比19%増加。和食ブームを追い風に和牛が28%増、日本酒は5%増となった。
輸入については、関税が撤廃されたワインが12%増加した。750ミリリットルのワイン瓶が1本当たり100円程度安くなったことに加え、販売店の宣伝が奏功した。豚肉やチーズの輸入も増えており、国内業者は厳しい競争環境に立たされている。
EUを離脱する英国とは今春にも貿易交渉を始める。当面は移行期間で、英国は日欧EPAの枠内にとどまる。日英交渉では、自動車関税の撤廃時期などが焦点になりそうだ。
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