図解
※記事などの内容は2019年4月15日掲載時のものです
【ワシントン時事】日米両政府は15日午後(日本時間16日午前)、新たな貿易協定交渉の初会合を米ワシントンで開く。茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が出席し、農産品など物品の関税撤廃・削減に加え、サービス分野をどこまで交渉範囲に含めるかを協議する。日米の思惑には隔たりがあり、交渉は冒頭から難航する恐れもある。
日本は昨年9月の日米首脳間の声明を基に、交渉範囲を関税分野や通関手続きなどに限定したい考え。茂木氏は「声明に沿って交渉を進める」と強調しており、農産品の市場自由化については米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)の自由化水準を「最大限」とする立場を改めて説明する。
一方、米国では昨年末のTPP発効などで農産品の対日輸出環境が悪化しており、日本に「TPP以上」の自由化を求める声が続出。食品安全や金融など幅広いサービス分野のほか、円安・ドル高をけん制するような「為替条項」の協議を迫る可能性もある。
初会合は16日まで2日間行われる見通しで、4月下旬にも開く日米首脳会談に内容を報告する。USTRは対中国交渉に加え、メキシコ、カナダと合意した貿易協定の議会手続きを重視している。日本政府は「範囲が広がれば日米交渉は長期化し、USTRにとっても望ましくない」と見込み、範囲の絞り込みに期待をかけている。
ただ、来年秋に再選を目指すトランプ大統領が支持基盤を固めるため、日本車の輸入数量制限といった強硬措置を検討する可能性がある。この場合、「日本は交渉範囲の拡大や農産品の自由化などで譲歩せざるを得ない」(通商関係者)との見方が出ている。
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