図解
※記事などの内容は2018年9月27日掲載時のものです
【ニューヨーク時事】日本は、米国との首脳会談で自動車・同部品への追加関税を回避するため、トランプ政権が強く求めた2国間の関税交渉を受け入れた。欧州連合(EU)が首脳合意で米側から追加関税の発動猶予を引き出す中、「何もしなければ日本は追加関税を発動される」(政府関係者)との危機感が背中を押した格好だ。
「TPPの水準でピン留めできた」。共同声明で、環太平洋連携協定(TPP)などこれまで日本が経済連携協定で約束した自由化水準が「最大限」との記述が盛り込まれ、政府内には安堵(あんど)の声が広がった。トランプ政権が要求していた包括的な自由貿易協定(FTA)交渉となれば、農産品の関税や貿易ルールで譲歩を迫られるのは確実。与党は国内農業票を失い、来夏の参院選にも悪影響が出かねない。
日本はFTA交渉入りを避けるため、茂木敏充経済再生担当相が、首脳会談前日の25日、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との閣僚協議で新たな枠組みでの関税交渉「日米物品貿易協定(TAG)」を提案。会談数時間前まで調整し、米側の了承を取り付けた。
しかし、日本が楽観できる状況ではない。トランプ大統領は、多額の対日貿易赤字を減らすため、引き続き圧力をかける構えだ。会談でも「交渉は満足できる結果になると確信している」と宣言。日本を交渉のテーブルに付けたこと自体が成功で、要求を押し通すことに自信を見せた。
ライトハイザー氏も首脳会談後の電話会見で早速、「TPPは高い水準ではなかった」と述べ、日本との交渉でTPP以上の内容を求めていく考えを示唆した。
日米は関税に続き、サービス、投資分野なども交渉対象にすることで合意した。今後協議が進めば、米政権が望む「事実上のFTA交渉」に発展する可能性が高い。
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