図解
※記事などの内容は2018年7月4日掲載時のものです
米国と中国の間で貿易摩擦が激化し、高関税を相互にかけ合う「貿易戦争」に発展しかねない情勢だ。日本にとって1、2位の貿易相手国の制裁と報復は、対岸の火事ではない。
-なぜ米中は貿易で対立しているのか。
貿易赤字解消を公約に掲げるトランプ米政権は「公正」な貿易を各国・地域に求めており、赤字が最も多い中国に対しては厳しい姿勢で臨んでいる。特に米企業が持つ知的財産権の侵害を問題視しており、対中制裁措置に踏み切る。
-制裁措置とは。
第1弾として、6日から340億ドル(約3兆7400億円)相当の中国製品に25%の追加関税を課す。半導体や産業用ロボット、自動車など818品目が対象だ。一方、中国は米国から輸入する大豆や豚肉、ウイスキー、自動車などに同規模の追加関税を課して対抗する構えだ。
-どんな影響が出るのか。
米中は世界1、2位の経済大国だ。関税の引き上げ合戦に発展すると、貿易は停滞し、世界的に景気が悪くなってしまう恐れがある。
-日本は関係ないのか。
無関係ではいられない。昨年の日本の輸出入総額のうち米中2カ国が占める割合は4割に迫り、中国との間で約33兆円、米国とは約23兆円に上る。サプライチェーン(部品供給網)はグローバル化しており、日本企業が輸出した部品は中国で製品化されて多くが対米輸出される。制裁で打撃を受ければ部品の注文は減るだろう。また買収した企業などを通じて米国から中国に制裁対象品を輸出している日本企業もある。
-どのくらいの影響が出るのか。
大和総研の試算によれば、米中それぞれの追加関税で日本企業が受ける直接的な影響は最大533億円。だが貿易停滞から世界経済の失速という事態に陥れば、この程度では済まない。
-日本は止められないのか。
中立的な立場から「制裁措置の応酬はどの国の利益にもならない」(外務省幹部)として米中に自制を呼び掛けているが、限界があるのが実情だ。
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