図解
※記事などの内容は2018年3月9日掲載時のものです
米国を除く11カ国の環太平洋連携協定(TPP)交渉が決着した。日本の全貿易品目(9321品目)のうち、TPPで最終的に関税をなくす割合を示す撤廃率は約95%と、国内の通商史上最高の水準に達する。自動車をはじめとする工業製品の輸出増や、農産物・衣料など輸入品の価格低下が見込めそうだ。
TPPは関税の全面撤廃が原則。日本では、コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の「重要5項目」を除き、農産物のほぼ全ての品目で関税がいずれゼロになる。生産者は、輸入品の急増に備える守りの対応に加え、海外で人気が高い和牛や果物の輸出の取り組みも求められそうだ。
一方、日本の強みである工業製品は輸出拡大が期待される。カナダは、日本製完成車の関税(6.1%)を発効後5年目で撤廃。ペルーやカナダは鋼材の関税を撤廃するため、日本が得意とする高級鋼材の輸出増につながる。
TPPは、世界貿易機関(WTO)が整備していない電子商取引、サービス、人の移動に関する新たなルールも採用した。データの流通制限禁止や、外資参入の規制緩和を通じ、企業の海外展開を後押しする。一方、著作権や新薬開発データの保護期間をはじめ、計22項目の実施は米国復帰まで先送りされる。
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