図解
※記事などの内容は2018年3月9日掲載時のものです
【サンティアゴ時事】米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP)の新協定「TPP11」が発効すれば、日本が輸入している農林水産品のうち、82%の品目の関税が撤廃される。日本は米国離脱後も牛肉や乳製品などの市場開放水準を変えていない。このため、オーストラリアなど米国以外の農業大国からの輸入が増えそうだ。
TPPでは、牛肉関税を現在の38.5%から発効16年目に9%に引き下げつつも、国内生産者を保護するため、輸入急増時には関税を引き上げる仕組み「緊急輸入制限(セーフガード)」を導入する。ただ、農業関係者は「輸入量全体の約4割を占める米国産の輸入実績をTPP参加国分として計上しなければ、発動基準(初年度59万トン)に達しづらくなる」と指摘する。
バターなどの乳製品では、TPP参加国向けに最大年7万トンの低関税輸入枠を新設する。この枠も米国分を踏まえた縮小はしておらず、ニュージーランドや豪州は、より日本市場に輸出しやすくなる。
一方、関税面で不利な条件に置かれた米国が、TPP11の合意内容を上回る市場開放を日本に要求してくる可能性がある。国内農業への影響を最低限にとどめたい日本政府は、米国が意欲を示す自由貿易協定(FTA)交渉や一層の輸出拡大を狙うTPPの再交渉は回避したい考えだ。
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