図解
※記事などの内容は2017年11月24日掲載時のものです
今回の対策にも含まれた環太平洋連携協定(TPP)署名11カ国による新協定。実現すれば、肉や野菜など幅広い食品の関税が削減・撤廃され、日本の消費者は輸入品の価格低下を通じて恩恵が受けられそうだ。
牛肉の場合、現在の関税率は38.5%。発効1年目に27.5%に下がり、16年目以降は4分の1以下の9%に低下する。ただ、輸入量が最も多いオーストラリアとは個別に経済連携協定(EPA)を結び、関税率は既に20%台に落ちている。段階的に下がり、最終的には19.5~23.5%まで低下する。TPP発効後は、EPAと比べて低い方の関税率が適用される。
豚肉でも段階的に下げ、10年目に低価格品の関税(1キロ当たり482円)は50円に落ち、高価格品(関税率4.3%)ではゼロとなる。焼き肉店で人気の牛タン(同12.8%)も11年目に撤廃される。
乳製品では、チェダーチーズの関税(同29.8%)が16年目になくなる。バターと脱脂粉乳では、低関税の輸入枠が設定されたが、国内消費量に占める割合は小さいため、小売価格への影響は限定的とみられている。
野菜や果物でも関税撤廃が相次ぐ。アスパラガスやカボチャ(ともに同3%)は即時撤廃。オレンジ(同16~32%)は6~8年目にゼロとなる。水産物は太平洋クロマグロ(同3.5%)で11年目になくなる。農林水産物全体では、最終的に8割強の品目の関税が撤廃されることになる。
日本が最重要品目と位置付けるコメでは、豪州産で無税輸入枠(発効時6000トン、13年目以降は8400トン)を設けた。ただ、輸入枠は小さく、米価への影響はなさそうだ。
新協定には肉やコメの生産大国である米国が参加していない。同国がTPPに復帰すれば、消費者が輸入食品から受ける価格面での恩恵はさらに拡大する見通しだ。
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