図解
※記事などの内容は2017年1月29日掲載時のものです
トランプ米大統領が日米の自動車貿易を「公正ではない」と批判した。2月10日の日米首脳会談をはじめ、今後の通商交渉の議題になりそうだ。自動車貿易の実態はどうなっているのか。
-公正ではないの。
米国は乗用車の輸入に2.5%の関税をかけているが、日本は1978年から0%。日本は関税以外でも米国車を差別的に扱っていない。だから、大統領の主張を「事実誤認」(菅義偉官房長官)と反論している。
-日本の輸出は。
2015年の対米輸出は160万台と、ピーク時の半分以下。1980年代に輸出が増加し、摩擦に発展したため減らしたんだ。
-減らした分をどうしたのか。
代わりに増やしたのが米国での現地生産だ。15年は385万台と過去最高。米国の乗用車販売に占める日本車のシェアは4割を超すが、その6割は現地生産だ。日本メーカーは販売店を含め、米国で150万人の雇用を支えている。
-米国車の売れ行きは?
15年に日本で売れた米国車は1万5000台弱で、国内新車販売(軽自動車を除く)の0.5%にとどまった。
-なぜ売れないの。
日本の消費者が求めるサイズの車種が少なく、販売店も少ない。いろいろな理由が指摘されているが、日本の自動車業界では、本気で売るつもりがあるのか疑う人も多い。
-企業努力が足りないの。
米自動車大手3社は、日本の消費者にアピールする東京モーターショーへの出展もやめている。日本で売ることより、日本車の対米輸出を制限したいのかもね。
-今後はどうなるの?
日本市場から撤退した米フォード・モーターは「貿易障壁の根源は為替操作にある」と主張。トランプ大統領は今後の通商協定に為替条項を盛り込む意欲も見せている。日本政府は難しい対応を迫られるだろう。
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