図解
※記事などの内容は2019年9月26日掲載時のものです
厚生労働省は26日、全国の公立病院と赤十字や済生会といった公的病院などのうち「再編統合の議論が必要」と位置付けた424の医療機関を、実名で公表した。75歳以上の高齢者が急増する2025年度を念頭に、医療費の膨張を抑える観点から効率的な医療体制づくりを加速させるのが狙い。対象医療機関の扱いを20年9月までに取りまとめるよう、近く都道府県に要請する。
厚労省は、民間を含めた医療機関の再編に当たって、まずは財政と税制で優遇されている公立と公的を対象とする方針。ただ、公立病院などの見直しは暮らしに直接影響を及ぼすため、自治体や住民からの反発も強いとみられる。要請に強制力はなく、再編は難航も予想される。
政府は団塊の世代が75歳以上になる25年度に向け「地域医療構想」を進めている。都道府県は必要な入院ベッド数を推計。集中的な医療が必要な「急性期」病床は少子高齢化で過剰となる半面、リハビリや在宅医療につなげる「回復期」病床の需要が増すため、機能の転換を図っている。
しかし、公立病院や公的医療機関では、25年度の急性期病床数見込みは微減かほぼ横ばいにとどまり、取り組みが遅れているのが実情だ。
このため、厚労省は「高度急性期」や「急性期」病床を持つ全国1455の公立病院や公的医療機関などの診療状況を分析。がんや脳卒中、救急医療などに関して(1)診療実績が特に少ない(2)似たような診療実績を持つ医療機関が近くにある-のいずれかに当たる場合、実名を公表した上で、統合再編に関する議論を行うよう求めた。
具体的には、急性期病床の削減のほか、周産期医療の他病院への移管、夜間救急受け入れの中止といった役割の見直しについて検証することが想定される。
厚労省は今後、全国に十数カ所の「重点区域」を設定し、統合再編を直接助言する方針。その他の対象とならなかった公立病院などについても、各病院が今年3月末までに策定した25年度時点の機能転換などの見通しが現状と変わりがない場合、統合再編を再検討するよう要請する。
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