図解
※記事などの内容は2018年7月30日掲載時のものです
8月からの社会保障サービスの制度改正により、現役並みの収入を得ている高齢者の負担額が一部で引き上げられる。高齢化により社会保障費は膨張の一途をたどっており、政府は引き続き抑制策を検討する考え。高齢者にも所得に応じた負担を求める傾向は、今後も強まりそうだ。
医療機関への支払いが高額になった場合、上限額を超えた分が払い戻される「高額療養費制度」については、現役並みの収入がある70歳以上で上限額が引き上がる。
これまで年収約370万円以上の人は、一律で外来診療が1人当たり5万7600円、入院費用を合わせれば世帯当たり約8万100円が1カ月の自己負担上限額に設定されていた。
8月からは、外来を対象にした上限額の設定は廃止。世帯当たりの1カ月の支払い上限は、年収を3区分に分け、年収約370万円から約770万円未満の人は約8万100円で変わらないが、約770万円から約1160万円未満の人は約16万7400円、約1160万円以上は約25万2600円にアップする。いずれの場合も、1年以内に上限額に3回以上達した場合は、4回目から上限額が引き下げられる。
これに加え、年収156万円から約370万円未満の人については、外来診療を対象にした上限額が1人当たりで1カ月1万4000円から1万8000円に上がる。
一方、介護サービスを利用した時の自己負担割合については、一定の年収がある65歳以上の人は2割から3割に引き上げられる。単身者は年収340万円以上、夫婦世帯は年収463万円以上の場合に適用され、利用者全体の3%程度に当たる約12万人が対象になる見通しだ。
2000年度に介護保険制度が始まった当初、サービス利用者の自己負担割合は原則1割だった。15年8月から、年収280万円以上の単身者ら比較的収入の多い人が2割に引き上げられた。高齢化に伴い介護給付費が膨張する中、所得に応じた負担を求め、制度を維持する狙いがある。
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