図解
※記事などの内容は2018年5月21日掲載時のものです
政府は21日、超高齢化と人口減少で医療・介護費が膨らみ続け、個人の負担が大幅に増えるとの試算を公表した。社会保障の支え手が減る中、将来世代に負担を先送りしないため、国民的議論は待ったなしの状況にある。
試算によると、自営業者らが入る国民健康保険の保険料は2018年度に加入者1人当たり月額平均7400円だが、25年度に8100円、40年度には8200円に上がる。75歳以上の後期高齢者の保険料も5800円から25年度6400円、40年度8000円と上昇する。
介護サービスを支える介護保険料も同様だ。65歳以上では18年度平均の約5900円から、25年度に約7200円、40年度には約9200円と1万円近くに達する。40歳から64歳の保険料も軒並み上がる。
低所得者には負担軽減措置も適用される見通しだが、厚生労働省は「医療・介護の支出が現在より増えることは間違いない」との見方を示す。
政府は過剰な医療サービスの見直しなどの対応に着手しているが、高齢化の進展による社会保障費の増加分はこうした削減努力を大きく上回る。財源確保のめどは立っておらず、同省幹部は「消費税率を10%に引き上げた後の負担の在り方を早急に議論するべきだ」と指摘する。
今後、支え手を増やそうと、定年延長などを通じた高齢者雇用の拡大を進める方針で、年金の支給開始年齢を遅らせる仕組みも検討する。経済的に余裕のある高齢者の負担増なども課題となるのは必至。難しい議論だが、「全世代型の社会保障」に向け、もはや後回しにできない状況だ。
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