図解
※記事などの内容は2016年5月2日掲載時のものです
社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度をめぐり政府は、同制度で用いるICチップ入り個人番号カードの活用拡大を目指している。行政手続きだけでなく、災害時の安否確認への利用などを検討しており、住民の利便性向上につなげる。
個人カードは、使用目的が法律で限定されたマイナンバー部分の他、ICチップ内にある本人確認用の電子証明書と空き領域部分(マイキー)で構成される。マイキーは総務相の認定を受ければ、民間事業者も利用できる。
活用策の一つとして検討が進んでいるのが、災害時の住民の安否確認。徳島県美波町では3月、個人カードを活用して避難訓練が行われた。住民が氏名や個人カードの情報を民間事業者が開発したシステムに登録すると、自治体からの避難指示がインターネット機能のあるテレビで映るようになる仕組みを体験。このシステムは、住民が避難所で読み取り機にカードをかざすことで、町や親族が安否を確認しやすくなるメリットもある。
また総務省は、自治体が発行する各種ポイントや民間のクレジットカードのポイントなどを個人カードに一元化したい考え。個人カード1枚で商店街の買い物ポイントをためて使えるようにし、地域経済の活性化も狙う。
カードの利活用の検討が進む一方で、住民に交付された枚数は4月26日時点で337万枚と、申請があった1003万件の3割強にとどまる。高市早苗総務相は「せっかく使い勝手の良いカードになっても、カードそのものが手元に届かなければ何にもならない」と危機感を示す。交付遅れの原因となったカード管理システムの不具合が解消されたことを踏まえ同省は、市町村窓口での交付の加速に向けた支援を強化する予定だ。
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