図解
※記事などの内容は2017年4月30日掲載時のものです
特定秘密保護法に基づく特定秘密を記録した行政文書の廃棄が進んでいる。各省庁は法律に基づく処理で問題ないと主張するが、いったん廃棄されれば、第三者が妥当性を検証するのは困難。政府内のチェック機能も十分とは言いにくく、各省庁が恣意(しい)的に運用する懸念は拭えない。
衆院情報監視審査会が3月に公表した報告書によると、秘密文書を廃棄しているのは、外務、防衛両省や国家安全保障局、消防庁。対象は、保存期間が「1年未満」と定められたもので、各省庁の判断で廃棄できる。
ただ、これらは、廃棄処分の検証や監察を行う内閣府の「独立公文書管理監」のチェックの対象外。同管理監が現在扱っている廃棄文書は、保存期間1年以上のもので、保存期間が短い秘密文書は事実上「野放し状態」だ。
例えば、情報監視審査会の報告書では、防衛省が秘密指定しているのに文書が廃棄された例が5件あったことが判明。理由は担当者が内容を記憶していたためだという。同審査会から「指定期間が続く場合、廃棄すべきではない」と指摘され、指定の解除に応じた。
一方、保存期間「1年以上」の文書については、行政機関の公文書管理を担当する内閣府と各省庁などが文書廃棄に関する協議を始めたばかりで、長期保存の秘密文書の扱いは定まっていない。ただ、これについても廃棄される場合、妥当性の検証が進むかは不透明だ。
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