図解
※記事などの内容は2017年4月25日掲載時のものです
カルテルや入札談合といった違反行為をした企業に対する課徴金の在り方を議論する公正取引委員会の独占禁止法研究会は25日、違反を自主的に申告した企業への課徴金減免制度の拡充や、課徴金額の水準引き上げを盛り込んだ報告書を公表した。公取委はこれを踏まえ、独禁法改正案の詳細を詰め、早ければ来年度の通常国会に提出する。
報告書は、企業に自主的な違反行為の発見・是正や未然防止などを促すため、「調査に協力するインセンティブ、調査を妨害するディスインセンティブ(意欲を抑えるもの)を十分確保する仕組みを導入する必要がある」と指摘。また、国籍の異なる複数の事業者間で結ばれる国際市場分割カルテルなどに対応するため、「一律かつ画一的に課徴金を算定・賦課する硬直的な制度を見直す必要がある」と提言した。
公取委の杉本和行委員長は「対立の構図ではなく、当局と事業者の間で(違反行為の)実態解明に協力していくことへのインセンティブを高める制度とすることを盛り込んでいる」と報告書を評価。「新時代に合った課徴金制度を構築し直す観点から法制化の検討を進めたい」と語った。
具体的には、最大5社に限定している減免制度の適用事業者数の撤廃や、調査開始後20営業日までとした申請期限を延長する。課徴金を30~100%の範囲で減額する仕組みについても、違反の申告順だけでなく、企業が提出した証拠の価値などに応じて、公取委が一定の幅の中で減額率を決められるよう見直しを求めた。調査妨害行為に対する課徴金の加算制度の新設も打ち出した。
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