図解
※記事などの内容は2019年2月5日掲載時のものです
厚生労働省による毎月勤労統計の不正問題で、賃金などの統計データが修正されたことを受け、野党は「アベノミクス偽装だ」として追及している。
-何が起きているのか。
勤労統計で昨年6月の名目賃金は前年同月比3.3%増と、約21年ぶりの高い伸びを示したが、調査手法の不正が発覚し、2.8%増に下方修正された。しかし野党は、2017、18両年に調査された事業所に限定した「参考値」の1.4%増が正しい伸び率だと主張。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の成果を示すため、賃上げが偽装されたと批判している。
-参考値とは。
昨年1月に実施した労働者数の推計方法変更や、対象企業の部分入れ替えなど、調査手法変更の影響を除いた数値のこと。厚労省は同月分から勤労統計に記載してきた。政府は変化率の判断では参考値を重視するとの見解を示している。
-なぜ昨年1月に手法が変更されたのか。
従来は対象企業を2~3年に1回入れ替えており、そのたびに過去の数値が大幅に変更されてきた。政府はこうした状況を問題視し、総務省統計委員会の議論を経て、新方式の導入を決めた。
-それのどこが問題なの。
野党は麻生太郎財務相が15年の経済財政諮問会議で、勤労統計の改善を求めたことをきっかけに新方式が導入されたと指摘。「賃金を高く見せるために統計をいじった」との疑念を示し、政府を追及している。
-実質賃金に関しては。
名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金に関しては、野党が参考値を用い、18年1~11月は平均0.5%減だとする試算を公表した。その上で、政府に対し「国民生活に密接な実質賃金はマイナスだ」と認識をただしている。
-政府の対応は。
根本匠厚労相は試算結果を追認しながらも、参考値はサンプル数が少なく、長期の比較ができないと説明しており、実質賃金の傾向について認識を示すことを避けている。
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