図解
※記事などの内容は2019年1月24日掲載時のものです
厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査問題で、同省の特別監察委員会がまとめた報告書の信頼性が揺らいでいる。24日行われた衆参両院の閉会中審査では、第三者の監察委による調査の一部が、厚労省の職員により実施されていたことが判明。与野党から報告書への不満が噴出したが、不正の全容解明には程遠く、政府統計に対する信頼の回復は容易ではない。
報告書は職員や元職員への聞き取りがベースになっており、不正な抽出調査が行われた東京都や、根本匠厚労相ら政務三役への聴取も行われていない。与党側が「都や自治体への調査が必要だ」(公明党の山本香苗氏)と追加対応を求めるなど報告書そのものへの信頼性に疑問符が付いた。
厚労省による組織的隠蔽(いんぺい)が認定されなかったことには「(不正を)知りながら共有されていなかったことこそ組織的関与だ」(公明党の桝屋敬悟氏)と厳しい声が出たものの、根本氏から説得力のある答弁は聞かれなかった。
監察委は16日に設置された後、22日に開いた2回目の会合で報告書をまとめた。これについても「わずか7日で報告が出る第三者委など聞いたことがない」(立憲民主党の西村智奈美氏)との批判が相次いだ。与党からも「厚労省の言い分を追認するだけでは監察委をつくった意味がない」(山本氏)と非難の声が上がると、根本氏は「必要があればさらに調査する」と答えざるを得なかった。
ただ、根本氏は「報告書の中身について責任を持つのは監察委だ」と、責任逃れとも取れる発言が多く、「辞職に値するのではないか」(社民党の福島瑞穂氏)と厳しく迫る意見も出た。根本氏は再発防止策の取りまとめを急ぐ考えを強調したが、肝心の原因究明は一向に進まなかった。
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