図解
※記事などの内容は2018年5月31日掲載時のものです
31日に衆院を通過した「働き方改革」関連法案には、政府が過労死防止大綱の見直し案に盛り込んだ数値目標の達成に向け、罰則付きの残業上限を設けるなど規制強化策が盛り込まれた。一方、高収入の専門職を労働時間の規制対象から外す高度プロフェッショナル制度(高プロ)の導入に対しては、規制に逆行するとの批判や「過労死が増える」と懸念する声が絶えない。
政府は数値目標で、週60時間以上働く従業員の割合を5%以下にするとしており、週60時間の労働は1カ月換算で約90時間の残業となる。これに対し、働き方法案では年間トータルの残業上限を720時間に設定。1年の平均では月60時間を超える残業を禁止し、数値目標の達成を図る。
また法案は、年次有給休暇の取得を促すため、有休が年10日以上ある労働者に5日以上取得させることを事業主に義務づける。残業規制とともに罰則の対象となるため、企業への強制力は強い。
一方、終業と次の始業までの間に一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」の導入は、努力義務規定にとどめた。労働側は「過労死と過労自殺をなくす一番の決め手」(神津里季生連合会長)と期待するが、多くの企業では制度の浸透が不十分とみて、当面は自助努力を促す。
また政府が「時間ではなく成果で評価される制度」を目指すとして法案に盛り込んだ高プロは、4週で4日以上、年104日以上の休日確保義務を設けているが、残りの日はいくら働いても違法にならない。野党などは「青天井で働かされ、過労死が増える」と強く反対しており、労働者の不安は拭えないままだ。
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