図解
※記事などの内容は2016年8月18日掲載時のものです
安倍政権が最重要課題と位置付ける「働き方改革」の柱の一つ「同一労働同一賃金」の実現に向け、政府は非正規労働者の賃金を正社員の8割程度に引き上げる方向で検討作業に入る。9月に予定する「働き方改革実現会議」発足に向け、具体策づくりを担う「実現推進室(仮称)」を8月中にも内閣官房に設置し、準備を加速させる。
実現会議は安倍晋三首相が議長を務め、加藤勝信担当相や塩崎恭久厚生労働相ら関係閣僚と労使の代表、有識者で構成。(1)同一労働同一賃金の実現(2)長時間労働の是正(3)高齢者の就労促進(4)障害者やがん患者が働きやすい環境の整備-を主なテーマに、来年3月までに行動計画を取りまとめ、関連法案を国会に提出する段取りを描く。
正社員の6割弱にとどまっている非正規労働者の賃金について、政府は6月に閣議決定した「ニッポン1億総活躍プラン」に「欧州諸国に遜色のない水準を目指す」と明記。欧州並みの8割程度を目指す方向性を打ち出している。
ただ、同一労働同一賃金に対しては、経済界に「企業収益を圧迫する」と慎重論が根強い。賃金格差是正を優先すれば「正規の賃金を引き下げることにつながりかねない」との指摘もあり、労使の合意形成は容易ではなさそうだ。
長時間労働の是正に関し、同プランは週49時間以上働く労働者の割合を、現在の2割から欧州並みの水準(1割)に引き下げることを盛り込んだ。政府は、労使が残業や休日労働のため労働基準法に基づき締結する「36協定」の見直しや、「テレワーク」「フレックスタイム制」導入を通じ、働き方を多様化する考えだ。
高齢者の雇用では、65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業を支援することで、企業の自発的な動きを促す。
首相は、障害者やがん患者の労働環境整備も実現会議の議題に加えるよう加藤氏に指示している。この分野では、就職支援や職場定着支援、治療との両立支援などの具体策が検討課題となる。
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