図解
※記事などの内容は2020年4月27日掲載時のものです
日銀は27日、金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策を決めた。黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大による経済的打撃に関し「非常に危機的な状況でリーマン・ショックを上回るようなネガティブな影響が出る恐れがある」と強い懸念を表明。年間80兆円をめどとしている国債購入の上限を撤廃するなど、政府と協調して政策を総動員する。
企業が発行するコマーシャルペーパー(CP)や社債については、買い入れの上限をこれまでの計7.4兆円の約3倍となる計20兆円に拡大する。「各国中央銀行よりも大きい金融緩和」(黒田総裁)を行い、企業の資金繰りを支援する。日銀は3月の前回会合でも緩和に踏み切っており、異例の2会合連続の追加緩和となる。
事実上の国債無制限買い入れに関し、黒田総裁は「必要なだけ、いくらでも買う」と述べた。その上で「財政政策との相乗効果」に期待感を示した。財政支援を目的に国債を引き受ける「財政ファイナンス」との見方は明確に否定し、「金融政策上の措置」と強調した。
日銀は四半期ごとの経済・物価情勢の展望(展望リポート)も公表。景気について「厳しさを増している」との認識を示し、従来の「このところ弱い動きになっている」から下方修正。先行きも「不透明感が極めて強い」とし、実体経済の悪化が金融システムに及ぼす影響をリスクに挙げた。
黒田総裁は「新型コロナの影響を注視し、必要があればちゅうちょなく追加的な緩和措置を講じる。中央銀行としてできることは何でもやる」と述べた。
2020年度の実質GDP(国内総生産)成長率は前年度比マイナス5.0~同3.0とし、1月予想(プラス0.9%=中央値)から大幅に引き下げ、マイナス成長と予想した。また、今回初めて示した生鮮食品を除く22年度の消費者物価指数(CPI)上昇率は0.4~1.0%との見通しを示した。
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