図解
※記事などの内容は2020年1月22日掲載時のものです
日銀が中央銀行によるデジタル通貨発行の研究を加速させる。ITと融合した急速な金融技術の変革を踏まえ、海外中銀との連携体制を整備。将来発行する可能性も視野に、経済への影響や技術面の調査・分析を進める。
デジタル通貨が普及すれば、海外との送金や決済が低コストで速やかに実行可能だ。一方、利用者のお金の動きを捕捉しやすくなる面もあり、個人情報保護が課題となる。
日銀と欧州中央銀行など6中銀や、国際決済銀行は21日夜、共同研究を行うと発表した。米国は加わっていないが、この分野で先行するスウェーデンが参加している。ノウハウを共有して研究を効率化し、年内をめどに報告書をまとめる予定だ。
共通通貨の発行は想定せず、実際の発行は各中銀が独自に判断する。
各中銀が研究を急ぐ背景には、米フェイスブックが計画している暗号資産(仮想通貨)「リブラ」への警戒感がある。民間企業が発行するデジタル通貨が世界規模で利用されれば、マネーロンダリング(資金洗浄)対策に抜け穴ができたり、金融政策の影響力が低下したりする恐れがある。
また、デジタル通貨の基盤となる「ブロックチェーン(分散型台帳)」など新技術への対応も急務。日銀は「現時点で具体的な発行計画はない」と説明しているが将来発行が必要になった場合に備え、調査を進める。
デジタル通貨をめぐっては、中国も発行計画を明らかにしている。将来、基軸通貨として世界的な普及を目指す可能性もあり、共同研究には、国際金融界で台頭する中国に対抗する意味もある。
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