図解
※記事などの内容は2019年1月29日掲載時のものです
日銀は29日、2008年下半期(7~12月)の金融政策決定会合の議事録を公表した。9月に米リーマン・ブラザーズが経営破綻し、金融市場の動揺が実体経済に悪影響を及ぼす懸念が強まる中で行われた会合は、利下げをめぐって意見が激しく対立。日銀は10月と12月、政策金利を年0.5%から0.1%へ0.2%ずつ引き下げたが、議長の白川方明総裁(以下、肩書は当時)は、「(0.1%であっても金利を)死守する構え自体は非常に大事だ」と、ゼロ金利の回避にこだわっていた。
当時、米欧に比べ利下げ余地の乏しかった日銀は、10月8日の米欧6中央銀行の協調利下げに参加しなかった。この結果、円高・株安が加速。10月31日の会合で利下げを決めたものの、下げ幅を0.2%にとどめ「次の一手」を温存しておきたい日銀執行部と、市場が織り込む0.25%の利下げを主張する審議委員3人、利下げそのものに反対し金利の据え置きを求める審議委員1人の意見が衝突した。
山口広秀副総裁は会合で「0.2%が正しいのか、0.25%が正しいのか、絶対的な意見はもちろんない」と発言しながらも、「(0.2%下げが)良い頃合い」と訴えた。白川総裁が提示した利下げ幅0.2%の議長案は、賛成4、反対4と、新日銀法下で初の可否同数となり、議長権限で可決に至った。
米国が実質ゼロ金利政策導入を決めた直後の12月19日の会合では、0.1%への利下げを決めたが、山口副総裁は利下げ余地を「残せるものであれば残しておきたい」と吐露し、利下げ先送りに言及した。これに対し、亀崎英敏審議委員は「手遅れになる」、水野温氏審議委員は「やり過ぎるリスクの方がちゅうちょするリスクより良い」と決断を促した。
08年下半期の会合は定例7回、臨時開催は異例の4回に及んだ。日銀は議事録を10年後に公表している。
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